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SANCTUARY公式ブログ "Engineering&Passion"

ゼッケン39 最後の挑戦 (その14)

出来上がったばかりの カスタムバイクは、何もその直後から完璧な

走りを見せる訳ではない。

 

如何に優れた世界最高峰メーカーのパーツで組み上げられていたと

しても、セットアップなくして その性能は発揮する事がないだろう。

 

最後の仕上げ工程があって始めて、我々の仕事はコンプリートする

ものだと 常々捉えている。

 

故にレースとカスタムは、基本的には同じであり 密接なのだと・・・

切り離せない関係であると言えるのだ。

 

 

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國川浩道は この日もセットに徹していた。

 

コーナーからコーナーへ、一つひとつを 丹念に確認しながら

手の加え方をイメージして行く・・・

 

その走りは、タイムを伸ばす行為に移行して行きたい気持ちを

抑えるが如くであった。

 

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彼の姿勢、このストイックさには 毎回学ばされるものがあるし

マシンとはこうして開発されて行くのだろうと、わずかながらに

実感すら憶えさせられる。

 

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11月10日の決勝デビューまで 残す所あと一ヵ月余りと迫った

ある日の走行で、ほんの少しずつではあるが セットは進み出した。

 

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練習走行スケジュールのスパンが 徐々に狭まって来ているから

真サード世代のメカニック達は いよいよ時間に追われるばかり。

 

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現場での迅速かつ、正確な作業の遂行は言うに及ばず・・・

 

走行が終わり成果を持って戻れば、セットが進んだ分だけ皮肉にも

開発や対策と言った 新しいテーマに即、取り掛からねばならない。

 

 

 

 

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ファイナルを決める為には トランスミッションの各ギヤ変速比も

マッチングしている必要があり、むしろ そこが決まってなければ

前には進めない段階になった。

 

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Z系ノーマルミッションと、Z1000J/R系ミッションに加え

サンクチュアリーコウガから取り寄せた 6速クロスミッションの

各変速比を比較する・・・

 

Z系ノーマルミッションの変速比より 他の2種の方が良い数値を

示しており、また 今まで使用していたZ系ノーマルミッションが

Zレーサー1号機の使い回しだった事から 消耗も著しかった為

交換する事になる。

 

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今回採用したのは、6速クロス。

 

今までストリートでは使って来たが、レースで本格的に使用するのは

これが初めての事だ。

 

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「レースでは通常、ストリートでの10倍 負荷がかかるんです」

國川浩道が語った あの言葉が脳裏をよぎった・・・

 

ストリートのZなら問題がなくとも、レースでハイレベルな走行を

した途端 トラブルが出るなんて事は、よくある話である。

 

だがこのEVOシステム、よくよく検証するとミッションカバーの

強度・剛性が高く、ミッションが配置されるクランクケース周辺の

ホールド剛性が相当上がっていそうで、そこは良い構造だと感じた。

 

いずれにしても この6速クロスEVOシステムの使用結果は、後で

サンクチュアリーコウガの立入に 是非とも報告してやりたいと思う。

 

 

 

 

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以前から開発を進めていた製品の モデリングが送られて来た・・・

 

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140度超えと言う油温上昇に 決定的な効果を発揮するであろう

待望の製品が、Zレーサー3号機のセットアップと時を同じくして

進行していたのである。

 

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かつて New1号機時代・・・

YRPレーシング製オイルポンプは あきらかに高性能であった。

 

今使用しているオイルポンプは なぜか油圧計での測定値が低く

常に一抹の不安を抱えていたが、この製品の投入で 状況は大きく

改善されるだろう。

 

故YRPレーシングY氏と ご遺族の方から、正式にパテント使用の

承諾を頂けたのには、ひとえに オオノスピード代表の大野さんから

K・Mさんをご紹介頂き、そこから進展できたものである・・・ 

 

関係した皆様には この場をお借りし、改めて感謝の意を伝えたい。

本当にありがとうございました。

 

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開発にあたっては誠太郎はもちろん、アルカディア代表 高野氏の

プロジェクト参加が不可欠で、この日も打ち合わせに余念がない。

 

この製品に関しては いずれ、きちんとご紹介したいと思います。

 

 

 

 

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腰上の仕様も、徐々にリメイクが施されていた・・・

 

燃調マップをセッティングするにしても、エンジンスペックが

決まってないと、毎回大きく調整を行わなければならないから

少しでも本番仕様の内容にと 走る度に変更が加えられていた。

 

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アニーズ寺田氏から ZEP1100用のピストンを供給して貰い

GPz1100のバルブリセス角度に切削加工して流用した・・・

 

本来予定をしていた イタリア流通ヴォスナーピストンの ハイコンプ

仕様が間に合わない事から、今戦はこのピストンで臨む事になったが

見ての通りのトップボリュームだから コンプレッションが期待できる

優れものである。

 

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長く待機していたカムシャフトも、ようやく今回から出番に・・・

 

今までのカムとは全く異なるプロフィールで、シリンダーヘッドの

そちこちにカム山がヒットする為、何ヵ所も削って逃がしている。

 

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お蔵入りしていたバルブスプリングのテスターを引っ張り出し

バルブスプリングのバネレートと 線間密着を測定・・・

 

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カムシャフト本来の性格を 正確にバルブの動きへと伝達するには

バルブスプリングの働きが重要で、ここを軽視すると狙ったパワーが

出ないばかりか、場合によってはバウンスによりバルブとピストンが

ヒットする事にも成りかねないから、より正確な測定が求められた。

 

もちろん スプリングのバラつきも、ここでしっかり認識する・・・

 

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ZAPレーシング代表 長谷川氏から バルブスプリング調整用の

精密シムが送られて来た・・・

 

市販のスプリングを そのまま使用するのでは、本来必要となる

適正レートが得られない為、実はここが最重要ポイントでもある。

 

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これほどハイリフトだと作用するランプ角がきつすぎて、しかも

バルブスプリングレートも上がってるから カムホルダーネジ穴が

切れまくるのではないかと、恐る恐る ボルトを締め込んで行くが

今回もクランク回転でリフトをコントロールしながら締め込む事で

一ヵ所もネジ切れる事なく、規定トルクでしっかり固定・・・

 

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ZレーサーⅢ 最後のパーツ、WEB 435カムシャフトが装填。

 

当初に予定をしていた Zレーサー3号機のエンジンは、これで

現在プラグホール修正に再チャレンジしている、最初のシリンダー

ヘッドだけを残すのみとなった。

 

空冷Zのエンジンチューニングは、趣が深い・・・

 

ストリートでは行けても、レースでは壊れてしまうギリギリの線が

あり、そこも踏まえて優れたエンジンを造らなければならないから

ストリート専門のノウハウでは 太刀打ちが出来ないもの。

 

スピードショップイトウの代表 伊藤アキオを始めとし、これまで

長きに渡り空冷Zでレースを続けて来た アニーズ寺田氏、並びに

ZAPレーシング長谷川氏に感謝しつつも、同時に頑張らねばと

改めて強い思いが こみ上げた・・・

 

 

 

 

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終日回りまくる、本店のシャシーダイナモ。

 

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どうやら誠太郎もここに来て、インジェクションマップ調整に

自信がついて来た様だ・・・

 

 

こうして繰り返されるリメイクを完了させ、走行予定日を迎える。

 

 

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10月に入った、早朝の筑波サーキット。

 

この閑静に包まれた朝方のサーキットに、これからも まだ何度も

足を運ぶ事になるだろう・・・

 

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今日のZレーサー3号機は 完成率で表すなら、70%程度・・・

 

サイレンサーも近接排気音量値を重視したもので、抜けの悪い

仕様であり、シリンダーヘッドとて相変わらずノーマルのままだ。

 

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かまわず國川浩道は コースイン・・・

 

残された時間は極めて少ないが、どこまで完成度を上げられるか

与えられた時間を使い切り 今日、この日のセットアップに臨んだ。

 

 

ゼッケン39 最後の挑戦。

 

決勝デビューまで、あと40日・・・

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