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SANCTUARY公式ブログ "Engineering&Passion"

ゼッケン39 最後の挑戦 (その17)

前回より 引き続き。

 

 

ビッグバルブ化やポート研磨、またZX10Rのスロットルボディを

ダイレクトに取り付け出来る様 大掛かりな加工を施してある 最初の

シリンダーヘッドが使えない為、予備のノーマルシリンダーヘッドを

組んで走行をし続けて来たが・・・

 

ノーマルヘッドに潜んでいたクラックからオイルが滲み、走行終了。

 

悪い形で終わった 10月24日の走行であった・・・

 

 

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翌25日も連続で走行予定が組まれており、急遽戻って クラック部を

外側から補修。

 

補修部に盛り付けたケミカルの硬化時間が短かった為に 半信半疑で

火入れをしたが、ひとまず空吹かしでは 滲みなしだ・・・

 

 

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あけて翌日・・・

 

昨日とは打って変わり、どんより重い 曇り空の筑波サーキット。

 

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シリンダーヘッドは応急処置ではあるが、車体のセットアップを

継続しなければならない・・・

 

とにかく今は サスも姿勢も、何もかもが決まっていないのだから。

 

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この日はかつて1号機・2号機のライダーを務めた 初代ゼッケン39

上田隆仁主催の走行会で、当然の事ながら 面識のあるこの二人・・・

 

3号機のセットが 思う様に進んでいないと言う事を聞いた 上田が

好意から走行枠をキープしてくれていたのである。

 

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同じオリジナルフレームでも 2号機の時代は空冷マシンだけで

編成されたレースだったが、今はハーキュリーズマシンと混走での

レースとなり、皮肉にも ハーキュリーズにエントリーをしている

上田とも競う事になる・・・

 

空冷Zのエンジンで 水冷最速クラスのマシン達と戦う事が、如何に

厳しく困難な事かを 上田自身 一番よく知っているだけに、いささか

心配そうな面持ちであった。

 

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デビュー戦である事から、全く熟成できていないのは 否めないが

今の段階に来ても 車体の方向性が見えないでいる・・・

 

一つはリアタイヤの接地感で、如何に2本サスとは言え もう少し

リアタイヤをつぶして回りたいと言うのが 取り組んでいる課題だ。

 

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A16の1R9Sフレームは Zフレーム比較で、アームピボットが

10mm ローダウンされている。

 

180/55-17サイズのリアタイヤに合わせて 設計されており

それは理にかなったピボット位置なのだが、今回はリアタイヤを

200/55-17とした事から タイヤ直径が大きくなり、リアの

車高が若干上がる形になった為 アーム垂れ角を少なくして補正を

していた。

 

アーム垂れ角が弱くなれば、アンチスクワット性は抑制されるが

 

本来であればネガな要素となるアンチスクワット性が、ここでは

逆に欲しいとなり、もう少しだけアーム垂れ角を強くしたいと言う

見解に至ったのだが、リアの車高を上げずに垂れ角を強くするには

ピボット位置を上げねばならなかった・・・

 

急遽、アームピボット穴径をオーバーサイズに切削加工する事に。

 

 

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コンパクトサイズのフレームであれば ギリギリ固定できる加工機が

井上ボーリングさんにあった為、ピボット穴径を φ20からφ30に

左右精度を合わせてボーリング。

 

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工場の旋盤とフライス盤で削り出した、2段構造式の偏心タイプ

アタッチメント。

 

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ビシビシ寸法の高い精度で 軽圧入とし、10mmローダウンから

5mm上に戻す方向へ。

 

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ここに来て これだけ大掛かりな仕様変更を行っているのだから

熟成と言うよりも むしろ、まだ造っている感が強かった・・・

 

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時間が押し迫る中で これだけ大掛かりな作業を、しかも高い精度で

こなしているのだから、真サード世代達の疲労感はピークに・・・

 

だが、ここで立ち止まる訳には行かない。

 

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残された時間の中で どこまで出来るか・・・

 

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國川浩道は微塵も あきらめていないのだから。

 

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何度かホームストレートを通過したが、昨日の走行から引き続きで

まずクラッチは問題なし。上昇した出力をきちんと伝達できている。

 

問題はシリンダーヘッドのクラック補修部で、このピットにいる

誰しもが そこだけを気に掛けていた。

 

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昨日~今日に掛けての2日間で リアタイヤをつぶす為のセットが

試まれており、車体姿勢と前後サスの調整に照準をあてて コース

周回が進む中・・・

 

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あきらかに速度のアベレージが上がり出し、タイムが徐々にアップ。

 

だが、0秒フラットに近づいた その直後・・・

 

 

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10周ほど走った所で シリンダーヘッドからオイルが流れ出した。           

 

(ダメか!)と言う言葉が 全員の脳裏をよぎる・・・

 

 

 

最悪の展開であった。

 

 

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走行終了。

 

昨日同様、この日もまた 成果が得られず・・・ 

 

 

 

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レースウィークを目前に、現段階では前進の兆しなし・・・

 

國川は暫くの間、厳しい表情のまま立ちすくんでいた・・・

 

切迫感に包まれるピット。

 

 

 

後談となるが、國川をよく知る 江尻氏いわく

「國川と言う男は 常に現状を受け入れ、今自分がすべき事は何かを

考えている男なんです。 ただ腹を立てるのではなく、あくまでも

勝利を目指して どんな時でもあきらめない、そんな男なんです」と

語ってくれた・・・

 

 

 

 

もう一度・・・

 

一つひとつ 解決して行こう。

 

そして来週の走行と レースウィークの走行枠を、有効に使おう。

 

3歩進んだのに 4歩下がった様な感はあるが、我々も國川同様

あきらめる事なく・・・

 

強く 前に進むために。

 

 

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