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Rumbling - NOBLESTスタッフのコラム

Vol.6 カスタムを取り巻くそれぞれの時代

2006年5月31日

■1980年代 第二次バイクブーム 〜カスタムの夜明け

女の子達までが続々と中型免許を取得し、250ccに乗る。週末のパーキングエリアは数百台にも昇るツーリングバイクの群れ。当時、空冷の4気筒車は特別めずらしい存在ではなく、ロックハートのオイルクーラー、KONIやマルゾッキのリアサス、いいとこCRキャブレター位が改造の対象でした。全国各地にはコイン洗車場が続々と登場し、土日ともなれば二輪、四輪をとりまぜて愛車を磨き上げる「洗車族」が登場。少年週刊誌は、どの雑誌もこぞってバイクマンガを掲載する。そんな盛り上がりの時代でした。


カスタムはまだライトな時代
 
コイン洗車場が各地に誕生


■1990年代 〜カスタムブーム到来

1990年代に入ると、いよいよカスタムブームの風が吹きだす。土曜深夜の第三京浜保土ヶ谷P.Aには、空冷Z、カタナ、そしてNinjaが続々と集結。チューニングSHOPの親父さん達も共に皮ジャンを身にまとい、夜な夜な参加。多数の看板を背負ったチームが現れ、単一機種によるオーナーズクラブもこの時代に多く発足されました。

やがて流れはさらにヒートアップし、
○手軽にパーツを購入できる大型量販店や通販専門店が続々と誕生。
○輸入ブランドパーツの大量流通と価格破壊が定着。
○車検の規制緩和に伴い公認車検の需要が低下。
○アフターマーケットパーツのグレードアップと商品の多様化。
○チューニングにおける作業、加工技術のレベル向上。

これらの要素がカスタムと言うジャンルを完全に確立させ、次々と新SHOPが各地に誕生。もはや保土ヶ谷パーキングレベルではなく、全国的にカスタムが一般化します。



本格的なレース活動を開始したのもこの頃

 
カスタムの手法が多様化し
それぞれが洗練されていった


■そして現在 〜時代を経て変わったもの、変わらないもの

カスタムというジャンルが確立するその一方で、国産新車の国内販売台数は年々伸び悩みを見せ、ネイキッドブームから単気筒のSR、和製アメリカン、TWを筆頭としたトラッカー系からモタード、そして近年劇的に一般に浸透したビックスクーターの登場など、各メーカーが早いサイクルで、各ジャンルへの様々な展開を示しました。そんな状況下においてさえ、自動二輪免許取得者の数は激減しており、代表的な原因の一つとして、若者層のオートバイ離れ、果ては少子高齢化という社会現象にまでたどり着いていきます。

しかし上記のような現状に反して、皮肉にも多くのカスタムショップがそこそこ忙しい毎日を送っているという反比例した現状があります。80年代のバイクブーム世代である30〜40才代のライダー達の熱気は未だ高く、カスタムショップだけではなく業界そのもののエネルギーの源になっていることが感じられます。しかしながら、そんな彼らも私を含めて、いずれは50、60才台を迎える訳で、そうなれば今現在、少数派になりつつある10代、20代のライダー諸君の存在が大きなウェイトを占めるようになるのは間違いありません。



■カスタムを取り巻く現代の環境

では、これより10年〜20年後に、そんな理想的な世代交代が成し得るのでしょうか。
現在〜近い将来にかけて影響力を持つ代表的な要因をいくつかあげてみましょう。

1. 少子高齢化社会
わかりやすく極端な表現で例をあげてみるならば、一艘の船に乗り込んでいる10人の漕ぎ手のうち、2人が老人、8人が若者であった状況が、老人5人、若者2人の7人構成になってしまうという事。若者2人が舟を漕ぎながら、5人の老人の世話をしなくてはならないので、休みも遊びもどうしても少なくなってしまう。常に余裕の無い毎日を送るようになり、最悪、船そのものが進まなくなる可能性も・・・。

2. 若者層における二輪離れ
少子高齢化という頭の痛い社会問題を抱えている上に、追い討ちをかけるかのごとく、若者のバイクに対する興味が薄いという非常に思わしくない一面を見せている。今の若い世代の周りにはバイクよりもずっと自分をかっこよく見せられる娯楽が沢山あって、その中の一部の若者が何とかバイクの世界に入ってきてもAT限定免許どまりで、先が続かないという状態。

3. 環境問題
すでに2サイクルエンジンが絶滅危惧種となってしまった事は皆さんもご存知でしょう。グローバルな観点で、排ガスが環境に与える影響が年々問題視されているのは確かな事。ディーゼルを皮切りに国内でも規制は厳しくなる一方にある。

4. エネルギー問題
化石燃料である石油は有限資源であり、いつかは枯渇してしまう物。当分先の話であろうが、近い将来、原油の価格は今現在の価格よりも大きく高騰する可能性がある。ガソリンに頼らない乗用車など、近年の車産業は著しく進化している様ですが、ガソリンエンジンではないオートバイも、いずれは世に出て来るのだろうか。

5.都心回帰
ここ数年、老若男女を問わず、東京を中心に人口が集中化している事は、先の新聞にも発表された通りの事。日本人の総人口が減少しているのにも拘らず、都心だけが人口増加する。首都圏郊外ですら世帯数が減少を続ける一方だとの事。都会に集中しすぎる傾向が今後、地方における地元定着型の事業や、商業の成り立ちを困難とし、都心部だけで文化が保たれて行く傾向が懸念 されています。

これらの要因は、いずれも現在進行形であり、今後のバイク業界、カスタム業界も避けて通れない大きな問題です。どれもすべて厳しい内容であり、ホンダのスーパーカブの様に社会貢献性が大きい存在であるならばいざしらず、「カスタム・チューニング」と言われる分野はどうなってしまうのでしょうか・・・。



■バイク・カスタムを支えていく情熱

 

最近、1〜2人でSHOPを営んでいる同業の知人達と話をすると、この先家族がいるのに病気や事故で入院した時とか、50〜60才代を迎えた時に、どの程度、社会保障や福祉が受けられるのだろう・・・。今更この歳でそこそこの会社に再就職なんて事も無理な話しだし・・・と。こんなシビアな話になる事が多々あります。いつもは口に出さない話題ではありますが、それぞれ不安な気持ちを抱えている事は確かなのだと感じました。なんて悪いことばかり並べ立てるとキリが無いのですが・・・。

自分自身、バイク一筋でここまでやってきたわけで、バイクをチューンナップするのが大好きでこの業界の門を叩いた人間です。今でもカスタムはすごく魅力のある事だし、とにかくこの愛すべき大切な趣味?(仕事でもある)を絶対に失いたくないのです。これから20年の歳月が流れても、今と同じ様に、ZやNinja、カタナといったマシンを手がけていたい!バイクに触れていたいのです!20年先を思い描き、実現する為に、今日試みることが出来る何かに常にチャレンジし続けたい。実際に同業の立場で、違ったジャンルのビジネスをテストケースとして始めている人達がいるという話をよく耳にします。もちろんバイクをやめずに・・・!だから僕もトライして行きたい。この数年、ずっとそんな想いで毎日がんばってきました。

西暦2030年、高速に、ワインディングに、そしてサーキットにチューニングされた往年の名車達が元気よく走っている姿を見るためにも、ささやかながら、がんばりたいと思います。


 



NOBLEST 代表 中村博行