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Rumbling - NOBLESTスタッフのコラム

Vol.12 モト・ルネッサンス参戦後記

2006年11月30日


工場業務に支障があってはならない
 
R.C.Mのバックオーダーは相当な数

T.O.Fでは既に優勝を決めているが...
 
ミーティングを繰り返し、参戦の是非を問う


■参戦決定

エントリーを熱望しているのは、やはりレース部門を率いるリーダー、笹賀であり、若手メカニック達もそれに続く形で参戦肯定派となっていた。9月に行われた「T.O.F SUPECIAL ROUND」では、辛くも優勝を勝ち得たものの、悪天候もあり、自己の持つベストラップタイム更新は成らず、しかもライバルチームの度重なるリタイヤで、ほとんどまともなレース展開が成り立たなかったという事もあり、どうやらメカ達もライダーも、そういった意味ではフラストレーションが溜まっている様子。特にブルーサンダースとは、はっきりと決着を付けておきたいという心の表れが笹賀から感じ取れる。

三時間あまりに渡るミーティングの結果、11月26日のモト・ルネへの参戦が決定。ただし、今現在受付けている修理・カスタムはもちろん、R.C.Mの製作スケジュールにも影響を与えないという事、レーサー製作は練習走行前日とレース前日に限定し、通常業務を優先させる事。製作は業務時間外に行う事を条件として参戦承諾となった。

モト・ルネまで残り一ヶ月。今回の参戦は吉と出るか、凶と出るか...。


決着が付いたとは言い難い前大会
 
メカニック達の情熱がエントリーを決めた


■これまでに無い順調な仕上がり

11月に入り、短期間ながらも集中したレース活動を開始。本戦当日までに2回の練習走行枠をキープ。今回はマシンの大がかりなモディファイは予定していないものの、本番までの残り僅かな時間を使い「今、やらねばならない事」を具体的にテーマ化して取り組む。ライダー上田さんのモチベーションは高く、冷静かつ客観的な視点から自らのライディングスタイル向上に積極的にトライする姿勢を見せる。そして、そのスタイルに合わせる様、マシンの車体ディメンションを変更させて行く。これまでより一歩踏み込んだコーナーリングへのプロセス、旋回特性をよりコンパクトなスタイルとするべく、人車一体となった試みを繰り返す。また、気温と季節の変化に影響されやすいキャブレーションへの挑戦。当然ながら、精密かつ繊細なセッティングにより、更に攻撃力の高い優れたキャブレーションにすべく、立ち上がりの鋭い、勝つ為のセットアップを施して行く。T.O.FにおけるF-ZERO EXTRAクラス上位入賞の水冷マシンと混走になるため、徹底したポテンシャルの管理が求められる。


順調な仕上がりを見せるZレーサー
 
ライダー上田さんのモチベーションも高い

地道で淡々としたトライ&エラーが繰り返され、僅かな持ち時間の中に凝縮された試みが施される。この短期間の中でメカニック達も上田さんも本当に良くやっていた。事実、それは好タイムへと繋がっていく。


■過去最悪のアクシデント発生

力強く吹け上がるエンジン。快調なエキゾーストノートが確認できる。1分1秒台前半〜中程にかけてのタイムをコンスタントに出し、順調に周回を重ねる。練習走行においてはマシンのコンディションアップへのトライはもちろん、ライダーのモチベーションも絡んでベストタイム付近の数値はそう連発できるものではない。レース当日の緊迫した環境の中でこそ、始めてたたき出せるという要素を持った物なのだから。今回の練習走行はこれまでにない好感触で、「これはひょっとすると...。」大きな期待感が胸に沸き上がり、思わず熱く拳を握り締める。笹賀の表情も僅かながら明るさが見えてきた...かな?とにかく11月26日が楽しみになってきた!快調に周回を重ねて行く上田さん。相変わらず1秒台のLAPを連発させている。快音を響かせ最終コーナーを立ち上がり、ホームストレートを駆け抜ける。しかしこの直後、予想もしていなかった事態が起こる。1コーナー進入、フルブレーキングからコーナー進入のアプローチに移ったその時...

右ハンドルバーが突然、溶接部から破断。

状況は最悪。的確な判断をする余地もなく、瞬間的な転倒クラッシュ!マシンは大きく宙を舞い、縦に回転しながら、なんとライダー上田さんの身体の上に落下。まさに一瞬の惨事...。


ホイールも割れてしまった
 
折れたシートレールがクラッシュの激しさを物語る


■苦渋の決断

PITのメカニック達の表情が一気に青ざめる。何と言う事態。全く予想していなかった最悪のケースである。過去二度の右側への転倒に加え、経年変化も手伝ってハンドルバー溶接部に僅かながらクラックが発生していたのだろう。

上田さんの意識はしっかりとしていたものの、自力ではまともに歩けない状態。その後、医師による診断の結果、腰椎横のと突骨部と肋骨の2ヶ所の骨折が判明。Zレーサーはと言うと、もはや細かく記すことができない程の大きなダメージ。もう廃車寸前か...

レース参戦を諦める...。やむを得ない判断だった。


このまま引退となる可能性が高い1号機
 
数々の輝かしい成績を収めて来た1号機


■気持ちを新たに

今回、様々な形でスポンサー協力をいただいておりました各社様、また、サーキットでの応援のため、出向いて頂いた方々、そしてライダーである上田さんも含め、あらためてこの場を借りてお詫び申し上げます。
本当に申し訳ございません。

来年以降のレース活動については、現段階では白紙の状態です。もちろん、サーキットへの復帰は必ず果たす心づもりではありますが、今ははっきりとお答えできる状況ではありません。Zレーサーは大破に近い姿にあります。約7年間、走り続けたマシンではありますが、完璧な修復が可能かどうかは判断出来かねる惨状です。むしろ、この愛すべきZレーサー1号機におけるレース活動は、これを機に終幕を迎えたのではないだろうか...。そう考える節もあります。

まだはっきりとしたプランではありませんが、私の脳裏に僅かながら浮かび上がりつつある、2号機のシルエットが現実となった時、来年以降のSANCTUARYにおけるレース活動を大きく動かして行くのではないかと感じています。

残念な結果となってしまった今回のレースではありましたが、新たな展開への足跡を残してくれた事も事実だと考えております。

次に向かい、新たに気持ちを入れ替えてがんばって行きたいと思いますので、皆様これまで同様、変わらぬご支援をどうぞよろしくお願い申し上げます。



株式会社ノーブレスト 代表取締役 中村博行
レーシングセクションリーダー 笹賀範一
ノーブレストSTAFF一同