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Rumbling - NOBLESTスタッフのコラム

Vol. 21 OHLINS "E×M"パッケージ
2009年8月5日



オーリンズ・エクスチェンジモード・パッケージ。
通称で「エクスモード」や「EMパッケージ」と呼ばれるこの製品は、私たち株式会社ノーブレストがラインナップするいくつかのオリジナルパーツと、ラボ・カロッツェリア社が輸入販売するOHLINS正立フォークをセットにして商品化したもので、機能面、価格ともに非常にお得なアップグレード・パッケージです。

この"E×M"パッケージ、内容が一見複雑に見えるため悩まれる方が多いのですが、なぜこの様な特殊なパッケージが登場したのか、パッケージを構成する各パーツの機能や開発経緯をご紹介しながら、ご説明したいと思います。




■事の始まりは、お客様の「わがまま」から
〜NITRO RACING天吊りFフェンダーKIT〜


日々製作されていく新作の「R.C.M」、あるいは車輌持ち込みによるチューニング。一連のカスタム作業の中で、ここ数年OHLINS正立フォークKITを採用するお客様が増えてきました。OHLINS正立フォークKIT採用の場合、これまでは純正Fフェンダーの使用を提案してきました。純正Fフェンダーは比較的安価なうえ、取付用ステーが付属し装着が容易なことから、カスタム費用を少しでも低く抑えたいお客様にメリットとなると考えたからです。

ところが、SANCTUARYのお客様はみな、実に「わがまま」でこだわりの強い人たちばかり…。こちらから何度も純正Fフェンダー使用のメリットを説明し、理解はしていただきつつも、「ここまでイジってXJRやZRXの純正Fフェンダーはないよねぇ」、「純正のFフェンダーは厚ぼったくて嫌」、「タイヤとの隙間が広過ぎる」等々、ノーマルネイキッド然としたシルエットがどうしてもお気に召さない様子。たしかにお気持ちはよくわかります…。

それならと、お客様の「わがまま」にとことん応えるのも私たちメカニックの心意気。「OHLINS正立フォークにボルトオン可能で機能的、しかもスタイリッシュなFフェンダー」の開発が始まりました。

取り付け方式はスズキ車によく見られる天吊り型を採用。フェンダーを吊るアルミのブレースを左右削り出しのクランプに連結し、フォークのボトムケースにくわえさせれば、上下のスライド機構を利用することにより17インチから18インチまで対応可能。フェンダー本体は、純正の野暮ったさを排したシャープでコンパクトなエアロフォルムを追求。こうしてNITRO RACING天吊りFフェンダーKITが誕生しました。



OHLINSφ43正立フォーク専用天吊りフェンダーKIT 製品ページへ



■コストダウン要求から生まれたアイデア商品
〜SANCTUARYメカニックブランド マルチキャリパーサポートKIT〜


ブレンボやAPレーシングに代表されるアフターマーケットブレーキキャリパーに多く見られる40mmの取付けピッチ規格。沢山の方に愛用されているのは、40mmピッチ特有の機能と優れたデザインによるものでしょう。

SANCTUARYの工場でも多く取り扱うこの40mmピッチブレーキキャリパー。同時に、OHLINS正立フォークとサポートを介して組み合わせる機会も多くなります。これまでキャリパーサポートは、その都度ワンオフ製作することがほとんどでした。しかしメカニック達は考えます。「毎回サポートをワンオフしていたら時間もかかるし、何より価格が高いものになってしまいお客さんに迷惑をかけてしまう…。」そこで、組み合わせるキャリパーサポートの規格をなるべく応用が利くKITとして量産化し、コストを下げようということになりました。

しかし、量産化にあたってはクリヤーしなければならない課題が2つありました。
1つ目は、ZRX1200、XJR1300、ZEPHYR1100と現在ラインナップされているOHLINSフォークKITでは、同じ40mmピッチキャリパーでも各機種のディスクローター径の違いによってサポート形状を微妙に変えなければならない、ということでした。各機種に合わせて3種類のサポートを量産することはコストダウン要求というそもそもの目的に反するためできない…。あれこれと頭を悩ませながら、これまでの車輌製作データを調べてみると、多くのユーザーがキャリパーを交換する際、同時にディスクローターをΦ320に大径化するケースが多いことが判明、そこで思い切って、対象となるディスク径をΦ320のみとすることに決定しました。

2つ目は、車種ごとに異なるディスクのオフセット量(Fフォークからディスクローターまでの距離の車種による違い)をどうするかということでした。ここで機械加工に長けた人なら迷わず「遠ければカラーを入れてボルトを長くすればいいし、近ければサポート内側をフライスで削ればいい」と考えるかもしれません。しかし、せっかくスペシャルのサポートを作るなら、ワッシャー程度のシム調整ならいざしらず、カラーを入れなければならないような構造にはしたくないし、ましてやフライス加工が必要なのではボルトオンKITでなくなってしまう…。そこで思いついたのがシムプレート式でした。プレートを入れてオフセット量を調整できればカラーを入れる構造に比べてサポートの強度を下げずに済みます。

商品としては、フォークスパンが狭くシムプレート無しでキャリパーサポートが装着可能なZRX1200用を基準KITとし、そこにシムプレートを選んで追加することによりXJR1300やZEPHYR1100用KITとして対応することとしました。更に、必要な場合にシムプレートを面研して厚みを微調整できるよう、旋盤のチャックにくわえこむ為の突部を設けました。同時に突部は、ダウエルピンとしてキャリパーサポート本体に設けられた穴にはまることにより、取り付け時に起こりやすいシムプレートのずれを防止する機能も持たせました。



OHLINSφ43正立フォーク専用キャリパーサポートKIT


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