高性能ラジアルタイヤを装備できる事は大切な条件だ。オートバイにおけるタイヤの性能影響は決して軽視できない 存在であり、数あるハイスペックラジアルタイヤから選んで履く事が出来る様にするなら、やはりホイールは17インチ ホイールへと辿り着くだろう。その選択には大きな優位性がある。

このRCM－511 MK‐Ⅱもマシンの動性能を優先し ローリングシャシーのメニューを決定した。だが一方で空冷ZのZらしい魅力も捨てがたいと、MK‐Ⅱの個性でもある 重厚感を残すべく融合を狙って製作された。ナイトロレーシング製スチールメガホンマフラーもそれら演出の一つで、 黒塗り手曲げスチールマフラーがブラックを基調色にした外装カラーにマッチング。ノスタルジックな雰囲気のマフラー ではあるがブラックの耐熱塗装はセラコートと言う、ここも現代的な造りで、ありがちなエキパイに発生する錆の心配も いらないと機能面も忘れていない。

MK‐Ⅱらしい重厚感は残しつつも走りは数段上の軽快な動性能を求める。難易度 高いテーマにも思えるが、空冷Z系RCMの場合それは殆どのマシンに課せられたテーマでもあるから想定外の事と 言った程のものでもない。外装カラーリングや車体パーツの色使いを配慮した上でオリジナルフレーム補強を主軸とする 17インチシャシーを精巧に造り上げてやれば目的は達成されるからである。そんな車体に搭載されたエンジンは、 長く安心して乗り続けられる事に重点を置いたRCMライフパッケージエンジン。耐久性を犠牲にする傾向のメニューを 避けてオーバーホールに注力したスペックだが、キャブレターやマフラーの変更に伴い上乗せされるトルク&パワーに 適した各部対策部品は数多く採用されており、ガスケット一枚から始まるエンジン内部パーツにおいても現代規格の 水準で組み上がられたエンジンである。

この様なプロセスで完成したこのRCM－511は今はオーナーが在住する 新潟に在る。RCMのオーナーは今や日本全国に数多く存在しているから同じエリアで別のRCMに出会う事もある だろう。今後Z系RCMはベースとなるZ系車両の枯渇が原因で残念ながらその製作数を減らして行くと傾向である。 MK‐Ⅱはその中でも最も数が少ない筆頭機種であるが、今となってはZ1やZ1‐Rとてそこに差はない状況だ。 もはやカウントダウンが始まりつつあるZ系車両。厳しい時代ではあるがオーナーが抱いた夢を実現させた1台である。