このRCM－517を製作するにあたり富山県在住のオーナーから全体の色をブラック中心でとリクエストを受ける。 結果、保安部品と一部パーツを除き、全て黒一色で統一されたマシンが完成する。ブラック単色の外装パーツは 一見しただけなら70年代風のルックスであるが構成されたシャシーはRCM特有の17インチホイール仕様であり、 そのギャップの異質さがどうかと言えば違和感なくマッチしており、このマシンならではの世界観があると感じさせられる。

ブラック一色と言う普通さの中に、ブラック一色ならではの個性が在るRCM－517だが、現代規格の足回りを装備された シャシーは最新RCMと同様のもの。世界最高峰のメーカーアイテムである、O・Zレーシングホイール・OHLINS サスペンション・Bremboブレーキと、17インチホイール化されたシャシーアイテムはRCMご用達の逸品で構成。 併せてサンクチュアリーオリジナルのフレーム補強やレイダウンなどの基礎加工も忘れてはいない。エンジンもパワフル &トルクフルなフィーリングを目指しつつ、オーバーホール性を重要視した上で要所に手が入った仕様。吸排気系と 点火系パーツをこれまた現代規格のものとした事からノーマルとは段違いのパワーフィールで、それは実用域において ここぞと言う時に力強い加速力を発揮するものであり、ストリートでは欠かす事の出来ない乗り易さを実現させている。

現存する空冷Z系の仕様には多種多様な方向性があるが、RCMは少なくともロードスポーツマシンとしての特性を 飛躍させる方向の車両だ。素材のZ1自体が当時、今で言うスーパースポーツ的存在の車両として世に出たのだから、 RCMに限ってはクラシックなツーリング車、懐かしいヴィンテージ車として扱いたくはない。あくまでも最前線で元気に 走る、それもハイレベルな動性能を示すと言った方向性のコンセプトである。このRCM－517はそんなRCM本来の スポーツバイク志向で製作されながらノスタルジックなルックスを同居させており、Z系RCMの趣を広げたとも言える、 そんな存在のマシンである。