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RCMオーナー's ボイスのVol.1は、Z1をベースに本来の「Zらしさ」を残しつつ現代の高性能な足回りを得たリアルコンプリートマシンRCM-058のオーナー、大竹秀夫さんにお話をうかがいました。
インタビュアー : SANCTUARY 石黒佑一郎 Photo : 今 慎一
SANCTUARY石黒(以下石黒)念願のZをRCM-058として納車させていただきました。
オーナー大竹さん(以下大竹)Zはずっと以前からの憧れだったので、遂に手に入れたという感じです。
石黒Zに乗ろうと思ったきっかけは何だったのでしょうか?
大竹僕がバイクに興味を持った頃は、周りはみんなCBが中心だったのですが、その中にあってZは新鮮な感じで、とにかくカッコよかった!
石黒ZはCBより後発ですが、当時DOHCエンジン搭載というのがセンセーショナルだったんですよね。
大竹それから、二輪免許の制度が変わったという事も、Zに乗るきっかけとして大きかったですね。教習所で大型が取れるようになって、ぐっと憧れのバイクに近づけたと思います。
石黒そうですね。僕も教習所に通って取得した世代ですが、厳しい限定解除の試験をパスするしかなかった時代の話を聞くと、大型バイクは随分と身近な存在になったと思います。
大竹実は憧れより、大型が取り易くなった事のほうがZに乗る理由として大きかったのかもしれません(笑)。
石黒Zというバイクには、どのようなイメージをお持ちだったのでしょうか?
大竹僕としては、「Z = DOHC」というイメージが強いですね。そして、月並みな言い方ですけど、流れるようなボディラインの美しさ。色々な面で、今後こんな「できた」バイクは世に出てこないんじゃないかと思ってしまいます。
石黒ネイキッドバイクの原点として今でも参考とされているだけに完成度が高いですよね。シンプルが故に、今も飽きが来ない。長く愛される理由でしょうね。
大竹あとはエンジンの形。僕がZで一番好きな部分です。
石黒丸ヘッドのイメージが強いんですね。Zの無骨な雰囲気の中で良いアクセントになっていますよね。何とも言えぬ色気を感じる部分とでも言いましょうか。僕も自身で所有するなら、やっぱり丸ヘッドだと思っています。「これがカッコいいんだよ!」と声を大にして言いたい(笑)。
大竹ベース車選びの段階で、Z1-Rを検討した時も...
石黒丸ヘッドの一型でしたね(笑)。やはりエンジンの形のイメージが強いんですね。
石黒AC SANCTUARY RCMを選ばれたのはどうしてですか?
大竹ACサンクチュアリさんの名前や、RCMの事は雑誌等で以前から知っていました。Zでレースもやっているし、それなりに成績も上げている。ここなら安心して任せられそうだなと思っていたのと、やはり何と言っても、お店に行って並べてあるバイクを見て、非常に強いインパクトを感じたというのが大きな理由ですね。自分が欲しいZのイメージに近いものが多くて、すぐにピンと来ました。
石黒なるほど。特に印象に残った点は何でしょうか?
大竹細かい事なんですが、例えばバックステップのマスターシリンダーの位置とか、パーツの形から取り付け方法、細かい部分の仕上げまで、ちょっとした部分が凄くまとまっているなと思いました。
石黒組み合わせ・バランスを考えてパーツをフィットさせるRCMのシステムを評価していただいたわけですね。RCMの場合、自社製パーツを主に使用することで、パーツのデザイン面においてもそうですが、全体に自然なまとまり感が出ます。RCMのコンセプトカタログにも「ハイレベルなトータルコーディネートたるR.C.M」とありますが、完成後のシルエットと機能性を見据えた上でパーツを選び、カスタム&チューニングを施すことこそが本当の意味でのコンプリートだと考えています。
石黒マシン各部について具体的にお伺いしていこうと思います。主にこだわったのはどの部分でしょうか?
大竹EXマフラーとタイヤのバランスは特に気にしました。全体的なイメージを決める上で、この二つの位置関係や大きさってとても大切だと思うんです。
石黒タイヤ・ホイールは17インチ5.5Jの180サイズで、ボリュームの近代的イメージ。EXマフラーはバランスを考慮してNITRO RACINGチタンEX+コニカルチタンサイレンサーを選ばれました。
大竹マフラーはたくさん種類があって迷ったのですが、これはイメージ的にぴったりでした。
石黒ちょうどコニカルチタンサイレンサーのプロトタイプを製作していた時でしたから、タイミングが良かったですね。
大竹初め、サイレンサーはチタンの320mmのタイプを考えていたのですが、こうして改めて眺めると、やはりコニカルチタンを選んで正解でした。
石黒カラーリングはファイヤーボール部分の色合いにこだわりましたね。
大竹まず考えていたのは、純正のラインを大幅に崩したくないということ。「Zらしさ」を強く主張したかった。より純正に近いラインをベースにして、色の組み合わせにちょっと遊び心を持たせたいという、僕のわがままなオーダーを見事にかなえてもらいました(笑)。
石黒暗すぎず、明るすぎないキャンディオレンジといったところで、とても奇麗な色合いに仕上がりましたね。カラーリングのプランを練る際は、色の乗る部分だけでなく、オートバイ全体をイメージに加えてバランスを考えていくのですが、車体が完成間近になって、いざ外装を乗せて見ると、思い描いていたイメージとは全く違うものになっていたりという事も...。カラーリングはじっくりと時間をかけて検討したいところです。
大竹Zはメーター周りも好きな部分なんですよ。Zはやっぱりメーターのシルエットがカッコイイ!そう言う意味ではメーターが目立つようにセパレートハンドルにしても良かったのかなと思っています。
石黒メーターもそうですが、その周辺の補機類はデザインの上でも密接な関係があって、取付位置を少し間違えると物凄くカッコ悪くなってしまうんです。慎重かつ繊細な感性を要するところですが、RCMで使用するSCULPTUREのステムやライトステーは、見た目における位置関係においても考慮して設計されているので、オリジナルパーツを使用するということが、RCMにおいて重要な意味を持って来ます。
大竹ブレーキホースの取り回しもきれいですよね。
石黒他にもステムとライトステーの色の組み合わせ等、細かい仕様変更を何度も行いました。
大竹やはり見た目の部分は妥協したくなかったので、時間をかけて悩みました。
石黒細かい部分を煮詰めたおかげで、非常にきれいに仕上がりました。せっかく時間とお金をかける訳ですから、オーナーさんには細かいところまで徹底的にこだわって欲しいですね。RCMのバランスの良い自然なたたずまいは、そういう小さなこだわりと丹念な造り込みの積み重ねによって初めて生み出されて来るものだと思っています。
石黒フレームは3つの補強メニューのうち、より剛性の高いSTAGE-3ですが、印象はいかがですか?
大竹やはりガッチリと固い印象です。でも不思議と軽快な感じがあって嫌な固さではありませんね。フレームがきちんと足回りを受け止める仕事をしているというか、柔軟性が感じられるように思います。
石黒17インチシャシー、つまり現行のラジアルタイヤを履く足回りに見合う剛性を与えつつ、ノーマルフレームの剛性面でのネガな部分を排除したフレーム補強メニューの効果が乗り味に表れていますね。
石黒エンジンのフィーリングはいかがでしょうか?
大竹特に3,000回転からの吹け上がりはイイですよね。グワッと後ろに持っていかれる感じがあって、非常に気持ち良いです。もっとエンジンを回してみたくなる。
石黒まさに「パンチのあるエンジン」という表現がふさわしい感じですか。
大竹油断しているとフロントがリフトしてしまうんじゃないかな?気を付けなきゃ(笑)。
石黒:実はメニューの内容は、それほどハイチューンドではないんですよ。ハイコンプレッションピストン等のパーツを使用してはいますが、どちらかというと、対策パーツをしっかり使用して、丁寧かつ繊細な組み付を行い、関連する吸排気系や電気系統を健康な状態にセットアップする。エンジンを頻繁に開けたり調整を必要とするような事は当然避けたいですから、ロングライフを見据えた上でのエンジンチューニングを施しています。
大竹乗り込んで行く内に感じ取れる事が出てくると思います。まだまだこれからですね。
石黒RCM-Zの率直な印象はどうでしたか?
大竹まず感じたのは、「これが本当に30年前のバイクなのか!?」という驚きです。各部が現代のパーツにアップデートされているとは言え、やはりZ1ベースということが頭にあって、それなりの古さを感じるのだろうと思っていたのですが、良い意味で想像を裏切られました。
石黒「Zらしさ」は失われていませんでしたか?
大竹旧車特有の雰囲気や乗り味が好きな人には、もしかすると「らしくない」と感じられてしまうかもしれませんね。僕にとっては逆に、現行車ライクな「しっかり感」があって、特に違和感無く、安心して飛ばせるなと好ましく思いました。
石黒おっしゃる通り、旧車そのままのクラシカルなテイストを求めている人には、造り込まれた17インチシャシーのZから感じ取れる現代的な乗り味は少し寂しく感じるかもしれませんね。
大竹ただの「カスタム車」とは違って、ゼロの段階から各部全てにチェックが入ってレストアが行われていくというのは、購入する側として、非常に安心感がありますね。
石黒普段は街乗りが多いということですが、使い勝手の面はどうでしょうか?
大竹特に違和感も無く乗れているんですが、あえて問題を一つ挙げるとしたら、僕には少々車高が高いかな。幸い、まだ立ちゴケとかはしてないけれど、街中だとやっぱりストップ&ゴーの連続だし、信号で止まった時に油断していると、ちょっとフラついたりして、ヒヤっとすることはありますね。
石黒もともとシート高が低いバイクではないですからね。シートの形状を変えていても、それなりの車高があるバイクだと思います。それでも現行のリッタースポーツに比べれば、なじみやすいポジションだと思いますよ。
大竹そうですね。乗りこなす楽しみが残っていると思えば、全く苦にはなりませんね。
石黒本日はお話をありがとうございました。
製作当初の様子を思い出しながら、楽しそうに語ってくれたオーナーの大竹さん。淡々とした語り口ながら、言葉の端々から念願のZを手に入れた喜びがにじみ出ていました。
今後も末永くサポートさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

