RCMの大半が所謂旧車と呼ばれている機種をベースにしたものだ。具体的に言えば1970年代～ 1999年までの排気ガス規制が掛かっていないモデルが多い。それは旧いバイクが故にカスタムや チューニングを施す事で動性能が向上するからであり、その性能変化にあきらかな違いが見られる 事が大きな魅力だからだ。ホンダCB-Fシリーズも1980年代前後に複数種生産された機種であり、 未だにファンは数多く存在する。このRCM-604のオーナーは、そんなCB-Fシリーズの中で900F と言う中間排気量のモデルを選択。ご存知の通りAMAスーパーバイクレースで活躍したマシンだ。

RCMとして造り込むからにはシャシー＆エンジン共に大きなモディファイを行う事になる。前後輪 17インチホイール仕様で併せてフレームも専用に加工。1980年代の趣向とは全く異なる現代的 センスで製作された。足回りは総交換するから全てが新品となり、かつ同時に個々のパーツ性能も 水準の高い仕様になる。フレームは測定＆ストレッチ後に補強や部分的寸法変更を施されるため 板金溶接と再塗装で蘇る。

問題はエンジンで、こればかりは新品部品に頼らざるを得ないのだが メーカーでのストック在庫は年々減る一方と厳しい状況が進んでいる。エンジンオーバーホールが 如何に内燃機加工ありきとは言え消耗部品が交換できないのは苦しい。オーバーホール完成度を 上げる為にも新品部品を調達する事は最大のテーマと言えるだろう。

CB-Fと言う機種は正にこの 傾向が強く、よってCB-FのRCMを成り立たせるのは部品調達の道でもある訳だ。製作サイドと してもオーナーの夢を実現させてあげたいと言う想いがあるからオークションや海外の部品サイトと 睨めっこになる。リプレイスパーツ採用も含めてありとあらゆる方法を用い完成を目指す訳である。 これはCB-Fを始め、CB1100RやCBX1000においても同じ傾向にあるのだが、最終的には オーナーの実現させたいと言う想いの強さが必要になる。

1年単位での長い製作期間や入手が 厳しい部品へのコスト感など情熱なければ成り立たないからだ。このRCM-604のオーナーは 正にそんな想いを持っていた方で故に実現できたのだろう。空冷Z系やNinja系と比べあきらかに 部品調達難易度が高いCB900-FでのRCM。現代のスペックを纏って新生し今も元気に走る事が 出来る、そんなマシンに仕上がっている。