2025年の東京モーターサイクルショーで展示されたRCM-644カタナ。サンクチュアリーが誇る コンプリートマシンRCM（Radical　Construction　Manufactureの略称名）の644台目に製作 されたマシンである。コンセプトはズバリ「中村流で好き勝手に造る」で、事実一緒に製作を担当した 永井メカ共々好き勝手に造らせて頂いたカタナである。

仕様は前後17インチホイールシャシーで、 あわせてフレーム補強を施工。リアタイヤ幅のワイド化に伴いドライブチェーンが大きくオフセット された事からフレーム左内側にインライン処理を行った上でリアサスの立ち位置スパンも295mm までワイドピッチ化している。エンジンオーバーホールにおける内燃機加工はサンクチュアリーが 誇るディンクスが全てを担当。20度定温管理環境の元、クランク、シリンダーボーリング＆ホーニング、 オーバーサイズバルブガイド製作入れ替えとシートカット加工など、精密さに重点をおいた施工で 仕上がられている。内燃機加工の精度はオーバーホールの完成度に直結する為、この分野の 作業において落ちどは微塵もない。メーターはスタックを用いてオリジナルでパネル製作した2連装。 アッパーカウルブラケットにブラケットを固定する事実上のフレームマウント化で、ハンドリングは 確実に向上しているであろう。

また、新たなパーツとしてラインナップされる「OHLINSステダンExM パッケージ」もこの644カタナで開発が行われた。Φ43正立フォークかΦ50の倒立フォークであれば ボルトオンで取り付けできるアクロスマウント式のステアリングダンパーのKITで、2025年9月より Newリリース予定だ。他にもバッテリーケースをワンオフ製作したBSリチウムバッテリーの搭載や 大容量アルミオイルキャッチタンク、フロントウインカーを小型のものとしながらもノーマル風に取り付け できるビレットフロントウインカーステー、個性化を図ったアルミパイプワークによるハンドメイドでの サイレンサーステーなど、とにかく単品製作の塊と言って良いだろう。

これらワンオフ物のアイディアと 採用はサンクチュアリースタッフ主導の元、自由自在に造り込みができた事にもよる。オーナーレスで 製作されたデモ車であったが、すぐに購入者が決まって今はこの夏の納車を待つばかりの状況である。