福岡県在住のオーナーは自らもバイクの分解組み立てを趣味として楽しむ方。そんなオーナーがオーダーメイドで 製作したマシンが、このRCM－515 MK‐Ⅱである。仕様は前後17インチホイールを装備したローリングシャシーで 現代的な動性能を追求したコンセプト。動性能の向上と、ワイドホイールならではの極太タイヤルックに魅せられた RCM十八番のコースである。現代的な性能とは、空冷Zの場合で言うとまずは何と言ってもシャシー性能にあると 言える。絶対的中心の存在であるタイヤは最初の製作段階では慣らし運転もある事からスタンダードな銘柄を履くが、 基本的には最新ハイスペックラジアルタイヤを装備できる17インチであり、前後サスペンションとブレーキのアップ グレードもそれにマッチした仕様である。

それらは最新のロードレ－スで培われた現代規格のものであり、選手権で 数多のマシンに採用されるO・Zレーシングホイール・OHLINSサス・Bremboブレーキである。それら筆頭メーカーの 高性能パーツこそがシャシー性能に直結しているとも言え、空冷Zと言う規格外のマシンにどれだけバランス良く マッチングさせられるかが重要であり、そのマシンの基本性能に大きく影響する要素だ。それら求められる要求において RCMは自己特有のディメンションを構築し、また定量化させる事で個体差ムラのない完成度を実現。中には空冷Z でのレース活動から得たフィードバックも含まれている。エンジンセクションとてそれは同じで、蓄積された確認行為から 抜粋したメニューで構築しており、40年以上も昔のエンジンとは思えないフィーリングを成立させている。このRCM－ 515はそんなシャシー&エンジン両面においてのバランスが良い。バランスが良ければバイクはオールラウンドな走りが 出来るから、実はストリートマシンとして優秀な仕上がりになっていると言う事でもある。

シャシーは世界一を誇るトップ メーカーアイテムで構築されているから一見だけではレーシングマシンの味付けを連想しがちだが、反面ストリートでの 実用性にも長けている面も持っており、オールラウンドに使用できるマシンとしての完成度は高い。今や入手が厳しく 希少となったMK-Ⅱだが、このRCM－515は眺めて楽しむ置物ではなく、あくまでも走りを堪能できるマシンとして製作 されたもの。オーナーのイメージを具現化できたマシンである。