このRCM-549 MK-Ⅱも、最近のZ系RCMで増加傾向にある前後18インチホイールシャシー車である。 全体のカラーコーディネートをブラックで統一した雰囲気はストイックな存在感を出しており、硬派なセンスの 仕上がりになってる。全てオーナーの意向を反映させたものであり、オーダーメイド冥利に尽きる1台である。 製作サイドとして注視したのは18インチホイール仕様でありながらもOHLINS製正立Fフォークを用いており、 それもノーブレストのオリジナル"OHLINS ExMパッケージ"がそのまま応用されている点である。

ご存知な方も多いと思うが、ExMパッケージは本来Z用としては存在しない。ZRXやZEP1100用と言った車種での ラインナップになる。SCULPTUREφ43フォーク用ステムKITを用いればExMパッケージがZ系にそのまま 取り付け出来るが、その際でも使用するFホイールはZRXやZEP1100用となる。つまり17インチホイール 専用の組み合わせであると言う事だ。だがこのRCM-549では、フロントホイールにMK-Ⅱ用のホイールを フィッティングしている。採寸測定してホイールセンターを算出し、それぞれ左右ホイールカラーをワンオフして 取り付け、フロントディスクローターもMK-Ⅱを用いてボルトオン。Φ320ディスクを採用したから異なる課題は ローターのオフセットだけとなったが、そこはExMパッケージならではのマルチキャリパーサポート性質を応用 して解決している。この時点でMK-Ⅱ用のホイールを使用する種のExMパッケージが誕生している訳だが、 レアケースな組み合わせである事からラインナップされる事はないだろう。旧いバイクに18インチホイールと 言うセオリー通りでありながらもOHLINS ExMパッケージを用いたと言うハイブリッドな仕様だ。

新旧という 見方をするなら、その要素は他にも点在している。左右のBrembo製ラジアルポンプマスターシリンダーも オーナーの意向採用であり、点火系にはASウオタニSP‐Ⅱ。キャブレターはフラットバルブのTMRながらも ボディカラーがベーシックなスタンダードなものを用いている。オイルポンプは組み込まれていて外からは確認 できないものの、最新のトロコイドローター式ハイプレッシャーオイルポンプとして油温の上昇を抑制。どれも 17インチホイール系のZ系RCMで採用されているパーツばかりであり、性能追求の思考が垣間見える選択 であると言える。見た目こそノスタルジックな路線であるが、中身やスペックはワンランク上を求めた。そんな コンセプトで造り込まれた斬新な1台である。