空冷Z系車両の中古車相場価格は2021年の時点で増々高騰を続けている。入手できなくなって来たと囁かれ 始めたのは2010年頃からだが今では多くの人達がそれを認識している状態で、この先も悪化の一途を辿る のは間違いない。Z1やZ1‐Rも見つかりずらくなっているが、中でもMK‐Ⅱはその筆等と言ってもおかしくなく、 MK-Ⅱのベース車両が今後全く買えなくなる訳ではないだろうが、今よりもっと入手できなくなった上で値段も 更に大きく上がる可能性は高い。

そんな危機的状況を察してかMK-ⅡのRCM製作は以前よりも増加傾向に あり、このRCM-553も正にそんな中で製作された1台である。マシンの仕様はオーナーからのフルリクエストで 製作。拘りのキャンディレッドベースによるZ1000Hラインが魅力的である。足回りは17インチホイールシャシー で造り込まれ、前後輪タイヤは現行ハイスペックラジアルタイヤが選び放題。タイヤがオートバイへ与える走行 性能への影響はとても大きく、17インチホイールならではの恩恵を体感出来る所である。

フレームはレーザー 測定&ストレッチを経たのち、サンクチュアリーオリジナルフレーム補強STAGEⅡを施工。各種専用治具を 用いて加工溶接されたフレームは、リアサスレイダウンなどの加工も含めて高精度な仕上がりで完成している。 基本となるフレームが高精度で足回りのアライメントも完璧だから、骨格系の正確さはRCMクオリティーで 高い完成度を誇る。17インチホイールでの車体を造るにおいてこの精密な精度追求は欠かせない要素だと 言えるだろう。エンジンは耐久性に重点を置いたライフパッケージコース。どっかんパワーこそ無いが、吸排気 パーツと点火系のマッチングでトルク&パワーに不満はない、むしろストリートでは扱い易く・乗り易いフィール であると言えるだろう。

街乗り・高速クルージング・ロングツーリングなど、ステージを選ぶ事なく使い勝手の 良いマシンとして新生を果たしており、現行ネイキッドマシン達と比較しても動性能的に引けを取る事はない。 そんなRCMとしての利点は多々あれど、オーナーにとって何より喜んで頂けるのは完調のMK-Ⅱが手に 入った事なのだろう。これから長く乗り続けて行けば小さな故障も起こり得るだろうが、これからMK-Ⅱを入手 する難易度に比べれば大した事ではないのかも知れない。まだ何とか実現できる今、夢をかなえた事こそが 何より大きな成果であると、そう感じさせられるのがMK-Ⅱである。