近年、18インチホイール仕様のZ系RCM製作は依頼が多い。何も17インチホイール仕様だけがRCMと言う 訳ではないから18インチホイール車の製作に関しては、もちろん吝かではない。むしろ17インチシャシーを 理解しているからこその18インチシャシー造りが出来ており、18インチの車体は得意科目であるとさえ言える。 17インチと18インチで大きく異なるのは車体姿勢、いわゆるディメンションだ。スイングアーム幅やフォーク径 などシャシーパーツの寸法も大きく違い、17インチが現行マシンディメンションに近いのに対して、18インチ ではなるべくノーマルディメンションから大きくかけ離れない意識で造り込む。

すなわち18インチ車は、ノーマル の素性を延ばす方向性で手を加えている訳である。とは言え、現行マシンの利点を取り込む事もあり、この RCM-559ではフロントにゼファー1100の純正φ43フォークを流用している。ゼファー1100フォークを用いた のは、全長が800mmとZ系の車体にマッチが良い事。アクスルシャフト径がφ17な為、MK‐Ⅱのホイールが 履かせやすい点などであるが、実は最も特筆すべきはブレーキ性能で、フロントフォーク剛性が高くなる事で 制動時の安定感は飛躍的に向上する。Φ43と言う大径フォークが18インチホイールにデザイン的にマッチ するかどうかはともかく、制動性能を考慮するならこのチョイスはありであろう。このRCM-559では、多くの パーツが18インチ専用部品で構成される中、唯一ステアリングステムとフロントフォークだけが17インチ専用 アイテムとなっているハイブリッド仕様である。

そんなこのRCM-559は、全体としてシックな印象を醸し出した ルックスだ。MK-Ⅱ本来のMK-Ⅱらしさ、そういったエッセンスを最大限に残しつつも、動性能はノーマル車を 遥かに凌駕する。乗り比べ出来る機会があるなら是非比べて、そのあまりの違いを体感して貰いたいほどの 性能差である。見た目はノーマル風、中身はポテンシャルアップされた進化版と、正にRCMの要素を完璧に 満たしているから堂々たる仕様であろう。

高年式のネイキッドマシン達と一緒にワインディングロードを走っても 決して引けを取る事はない。にも拘わらず、ロングツーリングや街乗りなどステージを選ばずに使える事は このマシンのメインコンセプトでもある。今やMK-Ⅱは絶滅危惧種で入手困難なZ系車両の筆頭であり、今後 MK-ⅡのRCMを造り続ける事はどこかで止まるであろう。それでもこのRCM-559のオーナーはあきらめる 事無く、ご自分のイメージを具現化した。それは見た目だけではなくオートバイとしての内面性能も期待に応え られる形で実現されている。満足度の高い1台であろう。