Z1000MK-Ⅱは最も入手が厳しくなった空冷Z系車両の一つである。2010年頃から車両の枯渇が徐々に表面化 し出した空冷Z系車両だったが、その後約10年程で状況は増々悪化し、程度は悪くなったのに車両の価格は軒並み 上昇した言う、そんな苦しい時代を迎えてしまっている。この傾向は今後も続くと思われ「いつかは空冷Zに!」と 計画しておられた方達にとっては夢を壊された様な状況になったとも言えるだろう。そんな条件下でありながらも 「実現させたい、それも妥協なき仕様で」と、情熱を持って製作依頼を頂いたのがこのRCM-565 MK-Ⅱである。

高騰したベース車価格でのスタートであったがメニューへの妥協はしたくないとオーナーは名言。17インチホイール シャシーコースでフレームを造り込む。ホイールやブレーキ サスペンション等の足回りパーツは、RCMならではの 拘り、世界選手権採用パーツのみで構成。最高峰に相応しいトップメーカーの逸品だけに拘った選択で組み上げて いる。エンジンにも力は注がれた。6速クロスミッションKITはロングアウトプットシャフトと削り出しミッションカバーを 組み合わせたドライブチェーンラインEVOシステムの革新的コンビネーションで、動力伝達系スペックはハイレベル化 されたものだ。同時にクランクシャフトはフルリビルドを施工。一般入手不可なクランクメインベアリングとコンロッド ベアリングを全て新品にするべく、Z系の組み立てクランクを一端全分解して組み立てし直している。

もちろん同時に 多気筒クランクに見られる位相ずれも修正。滑らかなクランクフィールに直結するスペシャルメニューである。更に それらコンディションアップされた腰下パーツにトロコイドローター式オイルポンプを組み合わせる。ノーマルのギヤ式 オイルポンプとは比較にならない程、安定した高い油圧を発生されるハイプレッシャーオイルポンプKITの採用により、 エンジン腰下の潤滑はもちろん、オイルクーラーへの圧送力アップから油温低下にも貢献。ビッグボア化&ハイカム、 ツインプラグヘッドなど、ハイスペックチューニングされたエンジン腰上セクションにも潤沢なオイル循環を実現させた。

シャシー&エンジン、共に高水準なメニューで造り込まれたRCM-565 MK-Ⅱ。その他車体の装備系においても 充実した内容で仕上げられている。ベース車価格が高額化した厳しい背景にありながらも求めた夢を実現させる事が 出来たのはひとえにオーナーの情熱があったからこその事で、そう感じさせられた1台である。