入手するのに厳しさを増した空冷Z系車両達。これまでも同様の危機感を語って来たが、いよいよ持って 増々見つからなくなっている筆頭車両の一つにKZ1000MK-Ⅱがある。Z-1やZ1-Rなども既に入手が 困難な状況であるが、MK-Ⅱは更に厳しい傾向にあると言えるだろう。それはもはや説明の必要がない程 ユーザー側の方が知っている事であり、このRCM-578をオーダーされた大阪府のオーナーも危機感を 持っておられた一人である。今はマシンスペックに拘らず先ずはMK-Ⅱを手に入れる事、もちろんしっかり 走る仕様に仕上げられた車両でとRCMのオーダーに至った。

車体の仕様は17インチホイールシャシーで 合わせてフレームも加工。Z系RCMでお馴染みのコースをフルパッケージで採用している。フレームに懸架 された前後足回りもRCM定番の仕様だが、お墨付きのトップメーカーアイテムだけに拘った選択であるから その運動性能はもちろん、信頼性も非常に高いメーカーパーツである。ベース車の高騰から乗り出しでの 総額コストが高くなってしまった空冷Zだけに、一つひとつのパーツに高額製品を求めるとたちまち大きな 金額になってしまうのが実状。ベース車は年々手に入らなくなっているのだから使用するパーツを部分的に 低価格な製品にしてでも今は成り立たせる事の方が重要であると、もはや今はこの着眼点が主流である。

各部パーツは先々アップグレードで交換して行けるが、ベース車両ばかりは手が届かなくなるであろうから 正しい捉え方であると言えるだろう。この辺りの状況はオーナーも熟知されており、オーダーメイドを行うに あたって躊躇い無い判断をされていた。製作決定後は、各パーツの色から外装のカラーリングに至るまで オーナーイメージを反映させる形で進行。エンジンはオーバーホール重視のライフパッケージメニューで あるが、オイルクーラーの冷却性能を100%機能させるべくトロコイドローター式ハイプレッシャーオイル ポンプだけは組み込むなど要所大事な部分だけは抑えた仕様である。

またハンドルバーやシートも近年の RCMに多く見られるデイトナ製RCMコンセプトを採用。同製品はより進化した扱い易さ重視の製品であり、 同じカスタムバイクであっても年々仕上がりが良くなっている事を実感できる。この様に手堅いパーツ選択と 造り込みで完成したRCM-578は用途を選ばないオールラウンド性に長けており、街中からツーリング、 ワインディングロードまで元気よく走れる仕様である。間もなく空冷Zは本当に枯渇してしまうであろう・・・ そんなご時世ではあるが、向かい風に押される事無く夢を実現できた1台である。