RCMに製作期間は車種により大きく異なるが、中心機種となっている空冷Zに関して言えば以前は半年、 今は10ヵ月ほどの期間を要している。作業メニューも納期に大きく影響するためハードなカスタムを施す 車両の仕様いかんでは1年以上かかる事もあり、オーダーメイドマシンが故にケースバイケースである。 これらは全て製作に必要となる時間であり意図したものではない。ところがこのRCM-584に関しては、 最初から2年以上時間をかけて製作して欲しいとオーダー時に依頼を受けている。

その狙いは極めて シンプル、完成までに予算を工面すると言うオーナーの意図があった為である。ご存知な様に空冷Z系 車両は高額であり、ましてやRCMとなるとベース車まで含めて700～800万円と更に高額であるから、 その購入予算を2年かけて溜め手に入れると言う計画をオーナーは考えた訳である。製作側としても 納期を早める方が難しいから乗れない話ではない。3年～4年となるとさすがに困るが、2年位であれば 相当マイペースで進められるからむしろありがたい位である。こうして2年の歳月を掛けてRCM-584は 製作が進んだ。

足回りは前後17インチワイドホイールシャシーで合わせてフレームも加工。RCMらしい スペックのローリングシャシーにはディンクスで施工された精密内燃機加工仕上げのエンジンが搭載。 正確な造り込みと高精度な加工を随所に施されて完成している。後から気づいた事なのだが、製作が スタートして間もなく沢山の部品を仕入れていたのだが、その後の1年～2年でありとあらゆるパーツの 値上がりが起こっている。ご時世柄おこった物価高騰であったが、このRCM-584ではそれら値上がりした パーツの大半を値上がり前に仕入れる事が出来ており、わかったのは今全く同じ仕様の車両を製作したら 50万円～100万円は高くなっていたであろうと言う事。狙ったものではないが2年という年月をかけた事で 今より大幅に低予算で製作できたと言うオプションまでついて来た訳である。

最終的には納車に至るまで 結局2年半もの時間が掛かっており、今現在多くの600番台シリアルナンバー車がギャラリーアップされて 行く中で最後の500番台シリアルナンバー車がアップされた。そのラグ感はともかくとして、計画的な方法で 購入を実現させたオーナーには脱帽させられる。何とかして手に入れたい、そんな情熱が具現化した RCMであると感じる。