ここ数年で増加傾向にある前後輪18インチホイールの空冷Z系RCM。中には17インチと18インチホイールの Z系RCMを2台所有していると言うオーナーも多く、それはもはや珍しい事ではない。17インチと18インチでは それだけバイクのキャラクターが違う訳でもあるのだが、このRCM-595は、18インチホイール仕様の車体で ありながらも随所17インチ車に見られる先鋭的パーツを多用している、いわばハイブリッド的なスペックである。 ノーマル車体のディメンションから大きく離れる事無く、わずかにスポーツライディング寄りに設定したキャスター 角やトレール値は18インチシャシーのRCMを構築する上で重要な要素だ。

素材の個性を残しつつ、それでも アベレージ速度が上がった時の運動性能はノーマルを大きく凌駕する。このコンセプトこそが18インチコースの 主なテーマである。車体ディメンションをよりスポーツ向きにするのだから使用する個々のパーツ性能も求めて 叱るべしであり、このRCM-595はフロントフォークにOHLINS正立フォークを採用。18インチホイールとの 組み合わせに対して先入観を取り払って構成されたフロント回りは "18インチホイール専用OHLINS ExM パッケージ"へと繋がる。MK-ⅡやZ1-R用のフロントホイールを使用する事を前提にしたパッケージで製品と してラインナップされる予定である。

キャブレターはヨシムラミクニTMR‐MJNのDSF仕様、そしてマフラーには ナイトロレーシング最高峰のモデル ウェルドクラフト3DチタンEXを採用。点火系にはASウオタニSP‐Ⅱを用い オーバーホール重視のライフパッケージエンジンながらトルク&パワーは申し分ないフィーリングだ。カリカリ ではないながらも大型オイルクーラーの装備とそれに合わせたトロコイドオイルポンプKITの採用も抜かりなく 行っている。こうして見れば18インチシャシーながらも随所に17インチ仕様マシンのテイストが採用されており、 冒頭で述べたハイブリッド的な造りである事が伺えるだろう。

18インチだから細身のフロントフォークであるべき、 2POTキャリパーであるべき、CRキャブであるべきと言った固定概念を払拭している、ある意味で旧いけど 新しいと言う、そんな逆個性を前面に押し出したマシンである。元々旧車は旧車らしくあるべきという概念が無い サンクチュアリーではこの方向性は大歓迎であり、製作サイドとしても面白いと感じる事ができた1台である。