近年の車両枯渇から入手困難になってしまった空冷Z系車両達。特にZ1・Z1-R・MK-Ⅱの3機種に関しては もはや絶望的と言ってよいほど見つからない状況になっている。そんな背景もあって先程の主流3機種は中古車 相場価格が軒並み上昇。同時にKZ900や1000、LTD等のこれまで比較的安価で購入できていた機種までが 引き上げられて高額化。今ではKZ900や1000も高嶺の花になりつつある。

そんなKZ900を既に所有されて いたオーナーはMK-Ⅱの外装仕様にカスタムしており、その状態で車両をお持ち込み頂いて今回RCMとして フルリメイクを行った。外装はもちろんMK-Ⅱ仕様のままでカラーリングを変更。外装コンバートのステーが一部 構造的に気になった事から良い機会なのでその辺りにも手を加えている。当初前後18インチホイール仕様で カスタムされていた足回りは17インチホイール仕様に変更。合わせてフレームもイチからやり直し、完成度の高い ローリングシャシーに新生している。車体を全分解しエンジンを下ろしたならと、エンジンもフルオーバーホールを 敢行。極々ライトなチューニングメニューを盛り込んだライフパッケージエンジンは、吸排気系&点火系パーツとの マッチングも加わって扱い易い性質のフィーリングに仕上がっている。

電装系も一部リフレッシュメニューを施され、 ブレーキ&クラッチやオイルクーラーと言った装備のホースワークもRCMらしい取り回しで整列された。最初から 取り付けされていたパーツで特に問題の無いものは無駄に交換する必要もなく、経済的なコースで再使用をして いるが、ここまでの作業量となると正にフルリメイクと呼べる内容で、RCMとしてシリアルナンバーを付帯するに 相応しいだろう。大掛かりなリメイクを経て俊敏性を得たマシンはスポーツライディングに適した性質へと変わり、 以前との違いを体感できるものとなっている。これからタイヤグレードを上げるなど、オーナー好みにスパイス 効かせて行くのも面白いだろう。このRCMー544はベース車両がKZ900だが、オーナー自身想い入れのある 車両であり、また同時にMK-Ⅱ外装も気に入っていた。

KZ900や1000をベースにMK-Ⅱ仕様車にするのを 非難する方達も一部に居るかとは思うが、サンクチュアリーではこの点を決して非難する事はない。そもそもが スタッフ達も含めてフルノーマル、フルオリジナルと言った要素に別段魅了を感じていないから、外装を交換して 異なる姿・形に変更するカスタム行為を肯定しているのである。バイクはどんな形であれ、どんな機種であれ、 自分が楽しいと思えればそれで良いと思う。自由に楽しむ事こそ真の醍醐味であるのだから、オーナーの考えに 賛同した、そんな思考からスタートしたRCMである。