1976年にZ‐1の最終モデルとしてKZ900が登場するが、その翌年1977年にはボアサイズがアップした KZ1000となる。この後Z1-RやMK-Ⅱが登場してくる訳だが、いわゆる丸Zと呼ばれるZ系車両は、LTD など一部の機種を除けばこのKZ1000がアンカーを務めたとも言える存在だろう。Z-1人気に隠れていた KZ900&1000だが、近年のZ系車両枯渇から最近では高値で取引されており、たちまち存在感が上昇 しているモデルでもある。そんなKZ1000をベースに製作されたRCM-574。

Z-1と比較すればメーカーで 最初から施されているステアリングヘッド裏側の補強と、既に1000㏄スタートな排気量のアドバンテージが 違いだが、そこから更に現代的な手法で一気に段階をアップグレードさせた。ローリングシャシーは前後輪 17インチホイールで、あわせてフレームにはサンクチュアリーオリジナルST‐Ⅱ補強やリアサスレイダウン、 リア180ワイドタイヤに対応したドライブチェーン軌道インライン処理など17インチホイール専用メニューを 施工。SCULPTURE製ステアリングステムとスイングアームは17インチホイール化には必須なマッチング アイテムだから、ここは定量化されたものでフィッティングしている。ホイールはZRX1200純正の中古を 流用するも、純正ホイール自体は大手ホイールメーカーENKEI製なだけに安心感は高い。そして何より コストパフォーマンスに優れた選択だ。前後サスはOHLINS製、キャリパーはBrembo製、前後ディスクは SUNSTAR製と、この辺りも信頼ある専門メーカー品で固めているから、手堅い仕様と言って良いだろう。

搭載されたエンジンは、もちろん精密内燃機加工をフルコースで導入。オーバーホールの基本であり要とも 言える内燃機加工の仕上がりでエンジンの調子は大きく変わるから、ここを疎かにする妥協だけは絶対に 避けるべきであり、特に空冷Z系の様に生産されてから50年も経過した旧車の場合それは尚更の事である。

ZRX1200の純正ホイールを流用し、左右マスターシリンダーなどもNISSINの横置きタイプなどを用いて コストを大幅に下げる事が出来たが、これはファーストスペックであって、今後部分的にパーツを交換する アップグレードの余地は広い。ZRX1200ホイールで組み立てているからZRX1200用の社外ホイールに コンバートするのは容易な事であって、空冷Z系車両の中古車相場価格が高騰しただけに最初から全て 何もかもと言うフルコースではなく、要所コストダウンを図って実現させた良い例だ。

パーツは後々でも交換 して行けるしその工程を楽しむ事すらできる。だがZ系車両は徐々に手が届かなくなって行くから、まずは しっかり手の加えられた調子の良い仕様でマシンそのものを手に入れる。正にRCMにうってつけな条件で あり、上手な方法で造られた1台である。