サンクチュアリーのRCM Ninja スポーツパッケージ NewTYPE-Rは、フレームの粉黛塗装に始まり エンジンフルオーバーホール、電装系フルコンバートと、旧TYPE-Rとは全く異なる先鋭的なメニューで 完成するコンプリートパッケージである。ひと昔前ならともかく今やNinjaは立派な旧車であるから、この NewTYPE-RのスペックはNinjaを健全に走らせる上で外せないメニューになっていると言えるだろう。

2016年にデビューしたNewTYPE-Rは、その後部分的なリメイクを受けて少しずつ変化をして来た。 このRCM－537は2020年モデルと呼ばれる仕様のNewTYPE-Rで、そのスタートエディション車に オーナー独自のリクエストが加わってアップグレードされている。Brembo製CNCブレーキキャリパーに ラジアルポンプマスターシリンダー、そしてヨシムラミクニTMR-MJNキャブレターへの変更など、全て オーナーリクエストによる仕様変更である。こう言ったアップグレードは個性が重要視されるカスタム バイクにとって大切な要素であろう。事実このNinjaスポーツパッケージNewTYPE-Rは、最初の仕様 スタートエディションのままで購入されたオーナーは過去に居ないとさえ言える。

堅実で安定したマシンを 造るにはこれまで培われたデーターを基に定量化された流れが必要である。それは確かに没個性化に 繋がるかも知れないが、トラブル続きのカスタム車に乗るよりも遥かに良いから定量化は大切な要素で あると考える。ウィークポイントをしっかり対策し、安全性や性能面を十分確認されたパーツと手法で 造り上げる。その絶対的なベースを前提に、部分的なパーツ変更を行ってペイント等で個性化を図る 事こそがNewTYPE-Rの楽しみ方であり、またそれは同時に調子良いマシンに仕上げる秘訣であると 言えた。

1980年代に火ぶたを切った日本のビッグバイクカスタムブームも、30年の時を経て徐々に 変わりつつある。当初は人と違う物をと言う要求が強かったカスタムだったが、今現在はより優れた カスタムバイクを求める思考が強い。カスタムするからには本当の意味で良いマシンになって欲しいと 言う、そこには本来の希望が存在しているからである。RCM Ninja NewTYPE-Rは正にそんな想いに 応えるマシンであり、変化ではない進化を促したマシンである。このRCM－537もそんなコンセプトの 基に造られた長く楽しんで乗って行ける1台に仕上がっている。