空冷Zの魅力は多々あるが、幾つかあげるなら”排気音”に”姿・形”、そして何と言っても”カスタム醍醐味”の 3つであると考える。どれもZ特有の空冷DOHC2バルブ4気筒エンジンと言う、今では造られる事が無くなった エンジンだからこその要素であるが、3番目の魅力である”カスタム醍醐味”に関しては人により好みが分かれる 所だろう。ヴィンテージバイクとしての希少価値に重点をおくならフルノーマルに拘るのだろうが、RCMユーザー に関してはそこに特別拘りはない。サンクチュアリー自身がそうなのだが、フルノーマルZに対して魅力を感じて おらず、例え希少車と言われる存在であってもカスタム醍醐味に優先順位を置いているからだ。空冷Zに求めて いるものはあくまでも現役感で、カッコよく走れる事。それはイコール”速さ”であり、RCMの基本コンセプトが そこにある。

大切に保管する骨董品ではなく、今も自らの愛機として 例えるなら「戦える事」を空冷Zに求めて、 あきらめていないからである。このRCM-557は、たまたま入手できたZ-Ⅱをベースにレストアとカスタムを 施してRCMクラフトマンシップ車両として販売しようかと企画していた矢先、タイミングよく問合せを頂いた方が 気に入ってくれ購入が決定したもの。私達サンクチュアリーが造ろうとしていた仕様のまま進める事に同意を 頂けたオーナーで、造り手と乗り手との好みが一致した結果である。フレームにはステージⅡの補強を施工し、 リアサスレイダウンも同時に行う。

足回りは18インチホイール仕様で、フロントフォークやスイングアームなど 18インチにマッチングした剛性感のアイテムを組み合わせた。一度全分解された車体は、ほぼ全てのセクション においてリメイクを敢行。降ろされたエンジンも全分解され、オーバーホールを中心としたライフパッケージ仕様 ながらもクランクシャフトのフルリビルドやトロコイドオイルポンプの採用など、ハイグレードメニューの構成にて 組み立てられる。

吸排気系と点火系のアップグレードも忘れてはおらず、耐久性を重視して組まれたエンジンは ハイパワーとまでは行かないまでも実用速度域において十分に楽しめるスペックを発揮しており、その性質は 18インチホイールシャシーにも適した性質である。バランス良く造り込まれた全体の雰囲気は、ノスタルジックな 雰囲気を残しつつもノーマルとは比較にならない動性能を得ており、正にカスタムの醍醐味を存分に堪能できる、 そんなRCM本来のコンセプトに従って新生を果たしたZ-Ⅱである。