このRCM-560は過去にも似た仕様のRCMが製作されている仕様である。アメリカンドリーム製アッパーカウルを 装備した17インチホイールシャシーのフォルムはこの仕様ならではの個性で、その魅力を突き詰めて行けば自ずと 同じ方向性に至る傾向だ。ハンドルバーを何にするかでアッパーカウルの位置は若干変わるが、それでも概ね このスタイルに辿り着くと言える。装備されたアッパーカウルの風防効果は絶大だが、この仕様ならではの魅力は 何もそこだけに限った事ではない。空力もさながら、ステアリングステムにメーターやヘッドライト等の装備が取り付け されない構造も利点あるもので、普通のZ系車両が取り付けている砲弾タイプのメーターやライトアッセンブリーの 重量がステアリングに一切掛かっていないからハンドリング特性は非常に軽快である。

そこに現代的な性能である 17インチホイールシャシーが加わり、走破性は格段に向上。納車時こそスタンダードな銘柄タイヤを履かせるも、 後々ハイスペックなラジアルタイヤに換装できるホイールサイズはRCM十八番の足回りで、フレームから専用設計 にて造り込んだ仕様だ。運動性能に直結する車体姿勢、いわゆるディメンションを初めに、ホイールのセンターや ドライブチェーンラインの設定など、各部のアライメント精度も絶対的な数値で仕上げている。正確に造り込まれた 車体には、耐久性に重点を置いたライフパッケージメニューエンジンが搭載。オーバーホール中心で組み立てられた エンジンだが、ナイトロレーシング製マフラーとヨシムラミクニ製TMR‐MJNキャブレターに、点火系ASウオタニSP‐2の マッチングでパワーフィールに不足感はない。実用速度域におけるトルク&パワーは充分満足できるものである。 アッパーカウルに議題を戻すが、KITで付属されて来るカウルステーはよく出来た製品である。

それでもRCMでは 更なるアレンジを加えており、カウルのファイバー面とステーの取り付け部の接続部をより良い関係性にするべく、 ステーの一部を切断して曲げ直したり、溶接したりと、若干の端正を施している。またカウル下側左右の部分にも 本来は設定されていないブラケットをワンオフして追加しており、カウルが振動で振れたりしない様、本体固定を より充実させている。これらはフレーム側にも加工が必要で、最初の製作時から構想して設けた構造であるから、 後から追加で取り付けた感覚には見えないものだ。優れた他社製品を用いる場合においてもRCMならではの 造り込みを加える。このマシンもそんなRCM本来のモットーに従って製作された1台である。