2010年頃を皮切りに、世界中で個体数を減らしたカワサキ空冷Z系車両達。当時生産台数が多かったZ1も 今では中々見つけられなくなり、アメリカやヨーロッパ、オーストラリアなど海外でも高額で取り引きされている。 値上がりは否めないとして、より深刻なのは個体そのものが痛んで来ている事であろう。高額化しているのに 車体は酷くなると言う矛盾した現象が今も尚進行しており、かつての様に誰でも購入できるバイクとは言えない 状況となってしまった。そんなZ1をベースにRCMとして製作された、このRCM‐561。

17インチホイール化に 伴ったコースで、フレームにはオリジナルSTAGE-Ⅱ補強とワイドレイダウン、ドライブチェーンオフセット対応 インライン処理を施してバランス良い車体マッチングを図る。足回りパーツは世界選手権ご用達メーカー品に 拘った妥協なき選択で、OHLINSサス・OZレーシングホイール・Bremboブレーキシステムと、加えて日本の SUNSTARディスクを採用。走行性能に直結する足回りパーツこそは実績ある老舗メーカーに拘るべきと常 日頃から捉えており、そこから得られる恩恵は何物にも変えがたいものがあると言えるだろう。最高峰品質の 逸品のみで構築されたそれらの足回りは、RCM専用で開発されたSCULPTURE製ステアリングステムと スイングアームでフレームにフィッティング。ここにフルオーバーホールされたエンジンが搭載され、吸排気系 &点火系のアップグレードで仕上げられている。

エンジンは耐久性を重要視したライフパッケージ仕様だが ストリートでの実用速度域におけるトルク&パワーは充分なもので、むしろ扱い易さ・乗り易さに長けていると 言えるだろう。このRCMー561、外装カラーも含めてモチーフとなったのは、2018年11月にカリフォルニア州 ロングビーチにて開催されたモーターサイクルショーに展示出品されたRCMー449をモデルにしたものである。 それでもCNCラジアルマウントのフロントブレーキキャリパーに変更するなど、複数のアップグレードが加わって 動性能を更に向上させており、より個性化を図ったマシンである。

ノーマルのZ1と乗り比べれば誰にでも明確に わかるほど走りの水準は上がっており、それは速さだけでなく、安定感や安心感にまで大きく影響をしている。 今後ますます買えなくなるであろうZ1を懐古的なアンティークとして見るのではなく、今でも元気に走り続けら れるバイクとして仕上げる。乗り物として生粋の性能向上を追求する視線でZ1を購入されるスタイルは正しく RCMユーザーの心理であり、造り手側としても冥利に尽きる想だ。おそらくは間もなく成り立たなくなるであろう Z1のRCMで街乗り、ロングツーリング、そしてスポーツライディングを堪能して貰いたい。そんなコンセプトで 製作された1台である。