佐賀県在住のオーナーさんはお父さんから譲り受けたZ-Ⅱを所有されており、そのZ-Ⅱをお持ち込み頂いてRCMと して製作するべく作業が開始される。ハーフタイプのアッパーカウルを取り付ける仕様でご依頼頂いたそのシリアル ナンバーもRCM-570としてスタートしたが、所有されていたZ-Ⅱの車体に問題が見つかり、急遽Z-1をベースにした メニューに変更。しかしながら、お父さんから譲り受けたZ-Ⅱを少しでも生かしたいと言うご希望から、可能な限りZ-Ⅱの 部品をZ-1に使用するプランにて製作された。

フレームはレーザー測定&修正後にオリジナルのフレーム補強ST‐2 を施し、ワイドレイダウン&インライン処理など、17インチホイールに対応した加工を施工。アッパーカウルを取り付け する為のヘッドパイプのマウントボスやカウル左右下側を固定するボス部など、必要な溶接加工を全て施している。 しかしながら、アッパーカウルKITそのものが販売元で長期欠品しており、車両の完成を目前にやむなくカウル無しで 一端仕上げて納車する運びとなった。再びイレギュラーな展開になってしまったが、カウルを取り付けする為の部位は フレーム側に設けてあるので、カウルが入手できる様になればいつでもアップデートは可能な様に造り込んでいる訳で ある。

フレームがZ‐1なのだから、エンジンももちろんZ‐1をベースにフルオーバーホールを行う。長く気を使う事なく 乗り続けて行けるライフパッケージ仕様である。耐久性に重点を置きながらも、ナイトロレーシング製チタン手曲げEXと ヨシムラミクニTMR‐MJNキャブレター、そしてASウオタニSP‐Ⅱの組み合わせでトルク&パワーは実用域において 不満あるものではない。ノーマル・・・ ましてやZ-Ⅱと比較したなら排気量違いのアドバンテージもあって充分満足できる 違いであろう。17インチ化された前後タイヤには慣らし期間もある事からスタンダードな銘柄を装着。それでも今後は 交換サイクルの中でハイスペックなラジアルタイヤに交換する事は容易く、17インチ化の恩恵を体感できる事でしょう。 今空冷Z系車両は世界的に枯渇し、中古車市場でも状態良い個体は見つかりずらい。程度は悪くなっているのに価格 は高いと言う矛盾が起こっている。

最初に予定していたZ-Ⅱも日本ではプレミア価格となっているが、今ではZ-1とて 入手困難な車両の筆頭になりつつある。コレクターとして後世に残すのではなく、気が向いた時に気持ちよく走れると 言うのがRCMのコンセプトであるからだ。アンティークな価値観ではなく、あくまでもスポーツバイクとして楽しんで貰える 様にと今の技術で製作されたRCM-570。お父さんの志も継いだマシンとして想いも深いであろう、そんな1台である。