飴の様な色合いのキャンディゴールドにさり気なく加えられたオレンジのグラデーションカラーは、ありがちな違和感を 感じさせないセンスのカラーリングでオーナーからのリクエストによるものである。このRCM‐589は、第三者から見ても カスタムマシンによく見られるチープさがないビジュアルで、オーナーのハイセンスさを造り手が実現させた例であろう。 時代は常に趣味趣向を繰り返しており、今は当時の雰囲気を全面に出した路線が主流になっている。その影響なのか、 近年はサンクチュアリーでも18インチホイール車の製作依頼は増加傾向だ。

そんな流れの中、この589のオーナーは 前後輪17インチホイール仕様でのRCM Z-1をオーダーされた。フレームも17インチホイール化を前提に造り込まれた ものでサンクチュアリーオリジナルのシャシーメニューを投入。そこにSCULPTURE製ステムとスイングアームをフィット させてベストディメンションを構築。前後輪ホイールは今やロードレース世界選手権採用率トップのOZホイールを履き、 サスペンションもOHLINS、ブレーキパーツもBremboと、最も優れたメーカーパーツのみに拘った組み合わせである。


車体に負けじとエンジンにも力は注がれた。DiNxでのクランクシャフトリビルドは現場のメカニック達が思わず声を出す ほどスムーズで滑らか。クランク回転運動から発生するノイズやバイブレーションを極小に低減させている。シリンダー ボーリング&ホーニングも最新鋭の電子制御マシンH85Aによる1000分台ホーニングで、ピストンクリアランス精度は 限りなく理想値に近い。またバルブガイド入れ替えシートカット加工においても同軸度精度を追求する事でシール性に 長けた仕上がり。5.5mmステムの軽量ビッグバルブと相まって効率的な吸排気の充填効率を実現しており、内燃機加工 における精度の水準は非常に高い。

そんなスペックのエンジンは扱い易いながらも充分パワフルなもので、ストリート 仕様として耐久性も考慮したバランスのフィーリングである。美しいビジュアルでありながらも現代的なカスタマイズを 施されたRCM-588 Z-1。ロングツーリングからスポーツライディングまで幅広いステージで楽しむ事ができる、そんな オールラウンダー的キャラクターを意識して製作された1台である。