ノーマルに近いライトカスタムされたZ‐1を所有されていたオーナーは部分的にカスタムされた仕様で乗られて いたが、エンジンオーバーホールの必要性や全体のリフレッシュを施したいと言う事から車両を持ち込まれる。 当初はエンジン、吸排気系、電装系と所謂Z系のメニューで外せない所の作業でしたが、どうせならとフレーム、 そして足回りの変更まで追加となり、十分RCMとして相応しいと舵を切ってスタートした。RCMに限らずだが、 Z系フレームを補強する際は必ずレーザー測定をし変形がある場合は修正を行ってから加工に入る。残念な事に これまで見て来た何百台とZのフレームは99%程の確率でヘッドパイプやシートレールが寄れている。ひとたび 補強を施せばその後の修正は困難となるから最初が肝心と言う考え方だ。

このRCM-590のフレームも例外に 沿わず要修正の状態で、ストレッチ後にサンクチュアリーオリジナルのフレーム補強STAGE2を施した。そんな フレームにフィッテングされたのは前後18インチホイールシャシーである。ここ数年の傾向としてノーマルに近い 仕様を好む方は多い。この590のオーナーもそんな思考から18インチホイールを選択されているが、それでも フロントフォークにOHLINS正立フォークをチョイスするなど一連の18インチ仕様車とは違った趣向にしている。

18インチホイールにOHLINSフォークの組み合わせが求められるならと、"18インチ専用ExMパッケージ"の ラインナップ化に繋がった。当初はφ43と大径のOHLINSフォークを18インチホイールに組み合わせる行為に 対して違和感を抱いていたが、17インチ車が持つ高性能なサスペンション性能を得られるのだから、合理的で あると言えるだろう。このRCM-590は他にもBrembo製のラジアルポンプマスターを採用したりと、部分的に 現代的パーツが選択されている。

また、エンジンにも力が注がれており、オーバーホールに欠かす事の出来ない "内燃機加工"は全てディンクスで施工。精密さ、緻密さに拘った仕上がりで実現させている。ライトチューンも 同時に施されたエンジンは発熱対策としてトロコイド式ハイプレッシャーオイルポンプを採用。装備された大型の オイルクーラーコア性能を使い切る循環系統としている。目に見える部分と見えない部分、様々なセクションが あるが、70年代のテイストを全面に出しながらも要所に現代的パーツを含ませる。そもそもカスタムは自由な 発想でオーナーが楽しむものなのだから、このRCM-590の様にノスタルジック路線ながらも個性を加えるのは 肯定されるべき事だと感じた。そもそもRCMは個人の個性から始まったコンプリートマシンである。そう言う意味 からも原点回帰の傾向にある1台であったと言えるだろう。