このマシンのオーナーは既にRCM-499 KZ900とRCM-568 Z1-Rを所有されており、このRCM-598は 事実上3台目の増車RCMとなる。RCM-499や568同様このRCM-598も空冷Zであるが、先の2台が 17インチホイールシャシーであったのに対して18インチホイール仕様で製作されている。

乗車ポジションも 今までの2台の様なセパレートやロータイプバーなど低いものとせず、やや余裕ある高さをチョイスしている。 φ38径のKYBフォークやSCULPTURE18インチホイールなど目に映る印象通り、RCM‐598は古き良き 時代の名残を残した姿形であるが、旧車的仕上がりながらも現代的最新要素が随所に見られるのが特徴だ。 スポーツライディング志向のオーナーはノスタルジックな路線ながらもポテンシャルは秘めさせたいと、この 598もエンジンには力を注いでいる。おそらくは街乗り・ロングツーリングなどに適した1台という立ち位置に なるであろうから、カツカツに高圧縮化する路線ではなく繋がりの良いトルク感を意識してチューンナップ。 ともすれば扱いにくい出力カーブではなくフラットな特性を目指したものだ。

それでもビッグボア化を前提に ハイカム、ビッグバルブ化＆ポート拡大研磨など、一連の燃焼系メニューは抑えている。完全燃焼を促す 狙いからツインプラグ加工も当然の如く施工されているが、これは同時に低振動化や燃費向上といった別の 目的にも繋がる為ツインプラグ化は必須科目とも言えるだろう。乗り易さと言う点においては6速ミッションの 採用も見逃せない。サンクチュアリーオリジナルNew6速クロスミッションは操作が軽くスムーズなタッチで 変速されるから乗り手への負担は大きく低減される。高速走行においてもエンジン回転の上昇を抑えられる からロングツーリングでの疲れ方も違うため6速の効果は大きい。クランクシャフトの全分解フルリビルドも 含め内燃機加工は全てディンクスで施工。精密精度に拘ったディンクスならではの緻密で繊細な仕上がりが エンジンフィールの好調を生み出している源泉だ。

最後に大排気量化したエンジンにおいては避けられない 熱ダレも、大型サイズオイルクーラーコアの機能を存分に使い切れる油圧のトロコイドオイルポンプで対策。 この様に目に見えない部分に力を注がれたRCM-598は一見ヴィンテージの体を装ってはいるが、その実 ポテンシャルを秘めた一台として完成している。このマシンならではのキャラクターを楽しんで頂きたいと思う、 そんなRCMである。