昭和のバイクブーム時はバイクに乗る者が増えただけでなくバイクの映画や漫画も繁栄した。 どの漫画もヒットして皆が夢中になり、このテキストを書いている私自身も夢中で読んだ憶えが ある。Z2を駆る、かの漫画も多くのバイク乗りの記憶に残っている事だろう。

このRCM‐617は 正にそのコミックスのZ2を再現したかの如き仕様である。当初はフレーム・足回り、エンジンと、 重要部位中心にカスタム＆レストアを行う依頼でオーナーが所有されていたZ2を預かったが、 作業が進むにつれRCMとして扱うに相応しい内容ではないかと、シリアルナンバーを付帯する 流れに至ったものである。基本全てがオーナーリクエストによるパーツチョイスやカラー選定で 製作されたが、前後18インチホイールシャシーのノスタルジック路線の中に先鋭的なパーツが 加えられており、OHLINS 18インチExMパッケージでのFフォークや同リアショック、ブレンボ ブレーキキャリパーなど剛的な足回りを構成。

雰囲気だけでなく実走行性も大事と判断された 選択であったのだろう。故にキャブレターも昔ながらのVMやCRではなく、ヨシムラミクニTMR- MJNを装備している。乗り易さや、ここぞと言う時の走破性能にも重点を置いたチョイスである。 セパレートハンドルに2連砲弾メーターのマスクルックも含め、走破性能を犠牲にしない事を 前提にコミックスのZ2実現を意識している。実はZ2の場合、日本国内で型式認定されている 750cc車だった事から法的な縛りもあった。サンクチュアリーでは過去にこれらの車両において 構造変更など改造申請も手続きしている。そこまで行ってようやく納車できる機種なのである。

実は個人的にモデルとなったコミックスのZ2は17インチワイドホイール仕様だなと感じていた。 Z2に限らずコミックスに登場する他のマシン、750SSやカタナなど漫画のデフォルメにより とにかくタイヤが太いのだ。そこがまたカッコ良い絵なのだが、どのマシンもリアタイヤが180に 見えてしまうのはあくまでも自分の感想である。沢山の人達が見た印象や価値観が大事であり、 このRCM-617もオーナーの脳裏にあるイメージを具現化した一台なのだろう。