このマシンをオーダーする事はオーナーにとって夢を実現する事であったと聞く。そんな夢を具現化した形となった RCM－424 Z1-Rは、渋めの配色で統一された車輌である。派手な部品やカラーリングでデコレーションされた バイクと比べれば幾分大人しさすら感じる印象もあるだろうが、実際には各部こだわりの仕様で仕上られている。

17インチホイール化を筆頭に足回りを構成しているパーツは全て世界でも最高峰を誇るメーカーの逸品であり、 それらの選択肢に一切の妥協はない。エンジンはヴォスナー製の鍛造ピストンを組み込んだライフパッケージで 耐久性を犠牲にした仕様ではない。それでも高圧縮化されたピストンに最新の点火系とマフラーの組み合わせは、 トルク&パワー共に十分なもので、エンジンレスポンスは非常に鋭い吹け上がりを見せる。

メーターはZX-10Rの 純正を流用。デジタルモニターのタコメーターはエンジンレスポンスと相まってスピーディーな反応を示している。 空冷Z系車輌はここ数年で中古車相場価格が大変高騰を果たしている。主に仕入れとなっていたアメリカでZ系 車輌の激減が進んだ事が原因であり、また価格の上昇だけでなく個体の状態も悪化の一途を辿っている。そんな 厳しい時代を迎えてもオーナーは抱き続けて来た夢を具現化させた。思い入れ強い一台として完成したマシンである。