自分仕様のオリジナルコンプリートマシンを造る事は趣が深く、楽しみ方も幅広いものである。造る工程の楽しみと 完成したバイクに乗る楽しみ。どちらもオーナー冥利に尽きるもので、何度も同じ経験が出来る類のものではない。 このRCM－473 Z1-Rは、オーナーが思い描いて来たスタイルやカラーリングを実現させたもので、イメージを 具現化したマシンである。

近年 RCM Z1-Rのセパレートハンドル仕様は数多く輩出されている。カフェレーサーの イメージが似合うZ1-Rなだけにアッパーカウルをローダウンさせセパレートハンドル化したルックスは、空冷Z系の 中でもZ1-Rだけに与えられた特権だ。スリムでコンパクトなボディカラーは“ボールドぼかし"と呼ばれるグラデーション でペイントされており、この辺もオーナーの意向で施されたカラーリングである。車体は前後17インチホイール化に伴い、 フレーム補強を施工。SCULPTURE製ステアリングステム&スイングアームに、前後サス&ブレーキをアップグレード 仕様にて組み合わせ。

エンジンは耐久性重視のライフパッケージだが、ハイコンプヴォスナーピストンで+アルファーの レスポンス&トルクを上乗せしており、街乗り・高速・ワインディングとステージを選ばずで扱いやすさを実現している。 いかに40年以上も昔に造られた旧車とは言え現代社会の車の流れに乗れる事は大事だから、いざと言う時に動性能が 優れている事は単に速さを追求しているだけでなく安全性にも繋がる事だから、そう言った意味からもRCMは今までの カスタム・チューニングの観点ではなく、乗り易さ・扱いやすさ・安全性の面においても注力をしている。オーナーが 抱いていたイメージは具現化されたが、機械的性能や乗車性はあくまでも製作側に託されている訳だから、そこの期待に 応えるべく綿密に造り込まれたZ1‐Rである。