現代版のZとして人気を博するZ900RS。そんなZ900RSをベース車に、かつてサンクチュアリーでは RCM-534と言うデモ車を製作したが、このRCM-632はデモ車の第二弾機として製作され、2024年の 東京モーターサイクルショーデイトナブースに展示されたマシンである。エンジンはフルノーマルであるが 車体を中心にNITROレーシング・SCULPTURE・SANCTUARYメカブランド・OHLINS ExMパッケージ、 そしてイタリアOZレ－シングホイールとAllegriブレーキホース等、交換されたパーツは全てRCMとしての レギュレーションをパーフェクトに満たしたスペックであり、堂々RCMに相応しい仕様で製作されている。

拘りの点としては、OZレーシングホイール専用ワークスエキスパンドディスクの採用である。Z900RS用の 社外ホイールはフロントにディスクアタッチメントを介する構造のものが多い。ホイール→アタッチメント→ ディスクと3連の組み合わせになる事でフロントブレーキの性能が低下するのは既に知られている事だが、 サンスターはこの3ピース構造を無くすべくOZホイール専用でワークスエキスパンドディスクをラインナップ。 これにより社外ホイールのディスクアタッチメント構造を脱却している。OZと言う世界最高峰のホイール だからこそ、アタッチメントを介さずにディスクを取り付けるべきと開発してくれたサンスターに改めて感謝の 意を表したい。

2つ目の拘りは車体全体のカラーコーディネートである。カスタム・ドレスアップパーツが 多数存在するZ900RSだけに巷でよく見かけるカスタム車の多くが色艶やかな部品で装飾されている。 カスタムは個人の自由なのだからそれはそれで良しとしても、ことサンクチュアリーのRCMにおいては 高級感に重点を置いたビジュアルとしたい。欧米の高級外車から感じるあの存在感である。その為には なるべく部品に色をつけない事、多数の配色を避ける事などが上げられる。あまりにも無色化してしまうと 遊び心の足りない仕上がりになるから多少は色物も取り付けるが、この辺りの匙加減が実に難しい所だ。

3つ目は無意味な部品を取り付けない事だ。交換する事で機能向上が狙える、あるいはメンテナンス性が 上がるなど部品交換に意味を持たせたい。昔で言う所の”盆栽化”を避けているのだが、これも意外に 重要な要素である。RCMに関しては敢えてこの様な縛りを持たせており、このRCM-632は正にこれらの コンセプトを満たした一台である。