リアショックレイダウン
リアサスペンションの運動性能を更に向上させる
モトクロッサーのリヤサスペンションチューニングとして誕生したレイダウン。シートレールに加工を施し、本来の取り付け 位置よりも僅かに前傾させてサスペンションをレイアウトさせるレイダウン加工は、ハードなスプリングレートを持つレーシングショックの初期作動性に大きく 影響してきます。プログレッシブストローク化(低荷重時では柔らかく、高荷重時では硬くという具合にサスペンションが複合的に動く)されたリアショックと の組み合わせによる効果は、ノーマルとは比較できない程、サスペンションの運動性能を向上させるため、高性能なシャシーパーツやスポーツラジアルタイヤを 装着する車体にとっては必要不可欠なチューニング手法と言えます。
レイダウン加工専用治具を用いて徹底的に精度を追求
レイダウン加工の手法として最もポピュラーなものが、シートレールを貫通する穴開け加工を施し、専用のサスマウントピン を溶接する方法です。サウスマウントピンは左右対称位置に厳密に溶接されなければならず、高い精度が要求されます。マウントピンが正しくない位置に溶接さ れてしまうと、左右それぞれがスイングアーム方向とは全く違った方向に振れるだけでなく、リアショックのゴムブッシュやメインシャフトに対して、不適切な 応力の加わったまま走行を続けることになってしまいます。
一度シートレール側に穴開け加工され、溶接されたレイダウンの修正は、非常に多くの作業時間と労力を費やす困難な作業で す。SANCTUARYでは、これまで数多くの粗悪なレイダウン加工がされたフレームの修正・修復を手がけてきましたが、今日でも依然として作業依頼が後 を絶たない状態が続いています。
SANCTUARYでは、この様な困難な修正作業を避けるべく、出来る限りノーマル状態のフレームをベースに製作してい ます。やり直しの困難な箇所なだけに、シートレール側への穴開け加工からマウントピンの位置決め、溶接に至るまで、レイダウン加工専用の治具を用いること により、徹底的に精度を追求しています。
■左右サスマウントが正しくない位置・角度で溶接されてしまった状態。この様なケースを数多く見かけます。修正も可能ですが、幾度ものやり直しは避けたい所。
■オリジナルのレイダウン専用治具。ピボット部を基準に、穴開けから位置決め、溶接時の固定までを施すことができます。
■製作されるマシンの仕様、リヤサスの寸法にあわせて治具を正確に装着します。スイングアームピボットからmm単位でポイントを決定する事が可能。
■治具を使った穴開け加工。キリのわずかな振れを最小限に抑える為、6mm→8mm→10mmと三段階に分けたベアリングアダプタを使用し、精度の高い穴開け加工を施します。
■溶接固定用アダプタを装着した状態で慎重に溶接を施します。正確な下穴開け加工がされていても、溶接直後はピン自身の重みにより向きが変わろうとする為、治具による固定は大変重要です。
■レイダウン専用治具を用いて加工が終了した状態。精度、強度共に申し分の無い完成度に仕上がります。
