こんばんは、サンクチュアリー本店の中村です。
先日のテイストオブツクバから 早や10日以上が経ちました・・・
レース当日は58秒台ラップと言う壮絶な展開で、見てるこっちは
も~~ やきもきしっぱなし・・・(;^ ^A
特にエンジンは向こう見ずにも空冷Zで 水冷ハイパワー勢を相手に
ガンガン行ってるもんだから、それこそ 冷や汗ものだったんです。
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そんなハーキュリーズ&スーパーモンエヴォの ハイレベルなレース
決勝で、最後の1~2ラップ マフラーから煙が出始めたのを見ており
レースの翌日 早速3号機のエンジンを下ろしました・・・
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合間を見て エンジンを分解。
あの煙・・・ 白煙だったから 燃焼室にオイルが入ってるはず。
よくぞブローせずに持ってくれたと褒め讃えつつ、患っている所は
一体どこよと、恐る 恐る・・・
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まずはカムシャフト・・・
白煙吐きとは無関係な部分ですが、少し前にカムのジャーナル部を
目いっぱいカジっていたので、正直 ずっと心配していました・・・
でも結果は 見事にきれいで、ホッと一安心 ♪
ヘッドに上がっているオイルも潤沢で、油膜もバッチリ効いていて
とても良い状態でしたよ! (^^)v
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さぁ、 やばいとしたら この辺でしょう。
白煙を見て 一瞬、デトネーション!?
あぁ~ やばい! ま~た やっちゃったか? なんて 思わず
ちょっとだけ 恥ずかしくなったんですが・・・ ( ̄▽ ̄;)ハハッ
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ピストンは4気筒とも、全くそんな気配なし・・・
て ゆーか、 むしろ 綺麗!?
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ケース内圧が かなり高かったし、減圧コントロールバルブの類を
付けてなかったからシリンダークリアランスが広がった所に張力が
落ちたピストンリングを超えて 内圧ガスが燃焼室に混入したか?
なんて 思ったりもしたんですけど、 シリンダーを測定してみれば
元々 0.08~0.09で精密ボーリングした数値に 大きな変化はなし。
いやむしろ、至って健全 健康な状態でして・・・
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ピストンスカートも、いや~ 素晴らしい!ってな位 良いあたりが
出ていて、気になる傷も一切なく 最高のコンディションでした。
じゃ~ 一体 何よ? って、 頭をひねっていたんですが・・・
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インテーク側 バルブステムにオイルべったりで、う~~~む・・・
どうも バルブガイドからのオイル下がりが、臭い???
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この3個目のシリンダーヘッドも レースウィーク突入前に慌てて
急遽 間に合わせたもので、バルブは元々ついてた中古を使い回し
当然 バルブガイドなんて打ち換える事なく、そのまま使ったから
高負荷の掛かる走行の連続で ガイドの圧入が緩んだか 動いたかで
オイル下がりを起こしたかと思われます・・・
まぁ この後は時間がたっぷりある事だし、原因と思われるヘッドの
状態を 慌てずゆっくり解明して行きましょう。
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ところで今回のエンジン、先ずは147馬力と言う 舞台に上がる事が
できる最低限のスペックに辿り着いたのですが、それを裏で支える
存在のパーツもありました・・・
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分解し 点検して、よし!・・・ よかった 問題なし!
これを組んでからは全開走行を続けても、常に油温は110°~120°の
間で安定してたから 結果は良好 ♪
レース終了後にエンジンを早々分解したのは、このオイルポンプの
状態を確認するのが目的でもあったんです。
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これは10月末頃の画像・・・
満を持して このポンプが縁の下の力持ちになる事を信じ、組み込み。
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決勝まで残す所 一週間と言う大事な時に 製品のテストを行うのは
どうなの? と 思われるかも知れませんが、オイルポンプの様な重要
循環系パーツこそ ストリートのテストだけで販売してしまう事に
正直 疑問を持ちます・・・
大手2輪メーカーがそうである様に、限界ギリギリ条件のレースで
テストしてこそ 真の結果が得られると考えてましたから、ここは
如何にシビアなタイミングとてテストすべき! と、判断しました。
むしろ こう言う製品の性能テストが出来るからこそのレースであると
思ってますし、それも 超ハイレベルなレースを行っている事の意義、
自分達ならではの優位性だとも捉えています。
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それにしてもこのトロコイドローターポンプは本当に素晴らしい!
油圧はノーマルとの比較で およそ5倍以上と、文句なしの性能!
前にも少しお話しましたが、このZ用トロコイドローターポンプは
かのYRPレーシング 故山幡氏が製作販売をしていたもので、実は
このポンプ、その復刻版なんです。
山幡代表は このZ用トロコイドポンプで実用新案を取得しており
私達サンクチュアリーがそのライセンス使用に関して正式に許可を
頂き 復活させたもの・・・
無断に製作し 販売しようとしてる様な行為では 決してありません。
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ただ、若干改良は加えました。
例えばこの ポンプボディとストレーナーボディとのオイル通路
合わせ面にOリングを入れる構造にしたりとか・・・
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最も拘ったのが、このポンプギヤのピン径・・・
ご損じな方も多いと思いますが、Z1やMK‐Ⅱなど 前期型のZでは
このポンプギヤピンの径が3mmなんですけど、J/R系以降の後期
Zでは ピン径が4mmに太く対策されている・・・
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Zレーサー1号機で3mmのピンを使用していたら、いつの間にか
ピンがボロボロになってて「なるほど、これが4mmに対策された
理由か!」 と、しみじみ思わされた経験がありました・・・
故に今回のポンプでは、この4mmピンと専用ギヤをセットにして
ご提供できる様に進めているんです。
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1号機、2号機・・・ そして今回の3号機と・・・
いずれもレースと言う厳しい世界の中で 純粋に速さを追求して
来ましたが、同時に製品のテストと その製品の性能による恩恵を
受けて成り立っているんだと、改めて強く感じさせられました。
レースの水準が高く、過酷であればあるほど それはより一層で
競技と製品開発とは 常に一心同体・二人三脚なのだなと、そう
思わされます・・・
大手メーカーは空冷エンジンなんて もう見向きもしないでしょう。
でも自分達零細企業は まだしぶとく、あきらめておりません (^^;)
レースフィードバック・・・
正しく この言葉に尽きると思います。
それにしても 今回のレース・・・
シリンダーヘッドに始まり、シリンダーヘッドで終わったなと・・・
恐るべしはヘッドではなく、オークションかな!? (-_-;)
