エンジンオーバーホールについて

Z、カタナ等を始めとした、生産されてから長い歳月を経過したいわゆる「旧車」は、エンジン内部の消耗の進行が著しい物 が多く、いかに中古車といえども、そのまま納車されていく事に無理があるケースが多くあります。RCMでは、改造バイクのエンジンにありがちな、納車後に 発生するトラブルを最小限に防ぐため、高水準な造り込みを施します。エンジンオーバーホールをあらかじめ行えるという事は、製作販売する立場としても大き な安心材料を手にすることができる大切な要素と言えます。

耐 熱ブラックで一つ一つ丁寧に塗りあがってきたエンジン鋳造部品。これから各内燃機加工や測定を経由した後、組立て工程に入ります。ポイントカバーやクラッ チカバー等のエンジンサイドカバー系はブラックだけでなく、鏡面ポリッシュ仕様も可能です。打ち合わせの段階でご希望の仕様をお選び下さい。

■シリンダーライナー ほとんどのシリンダーが、経年変化によりブロックとライナーが抜けやすい状態になっています。回り止めピンによる対策ではなく、オーバーサイズライナーを製作して一つ一つ対応します。

■ミッションドック・クリアランス調整 各ギア噛み合いにおけるドックのクリアランスをシムで微調整し、ギヤ抜け対策を施します。フリーギア系の振れ防止にも効果があります。

■クラッチハウジングリビルト加工 Z系クラッチハウジングはメーカー欠品になっている為、ガタの発生しているハウジングをリビルト加工して使用します。

■各部面取り研磨作業 変速系統部品はすべて研磨を施した上で組み付けます。やさしいフィーリングのタッチに貢献しています。

■クランクシャフト芯出し 組み立て式クランクシャフト特有の捩れを修正します。スムーズで低振動なエンジンのセットアップに必要不可欠です。

■クロモリシリンダースタッド SANCTUARY MECHANIC BRAND製クロモリシリンダースタッドを使用します。潜り込みによる長さの不足や、スタッド植込み後のセット長のバラつきに対して対策済みの物です。

■ピストンリング点検 使用するピストンリング合口のクリアランスを点検します。オイル上がりトラブルにつながる不良リングも中にはある為、必ず確認を行います。

■バルブ回り オーバーサイズバルブガイドに打ち替え後、シートリング加工を終了したヘッドバルブのセット長に問題がなければそのまま摺り合わせ工程へ移ります。

■対策タイミングパーツ 強化タイプのカムチェーンにSANCTUARY MECHANIC BRAND製アイドラーを組み合わせて行きます。ラバーマウント式を採用する事で、純正同様に鋳造部への負担を低減させています。

■エンジン組み立て 一つ一つの工程をしっかりと確認しながら、各エンジン部品を丹念に組み付けて行きます。

■バルブタイミング調整 SPLカム＋アジャスタブルカムスプロケットの組み合わせであれば、オプションでバルブタイミング調整も行いたい所です。

■カバー系ボルト エンジンカバーを取り付けるM6ボルトはすべてステンレス製キャップボルトに変更します。

ボス付き型オフセット・ドライブ・スプロケット

リアタイヤをワイド化させるにあたり、オフセットされたフロントスプロケットは、今や必需品となりました。しかしながら 多大な数値のオフセット化により、梃の原理が大きく作用したオフセットスプロケットのスプライン部（ミッションのシャフトとスプロケットが噛み合っては まっている部分）は、変形やガタなどのトラブルに見舞われやすい為、現在は、カウンターシャフト圧入カラーと同寸法のスリーブボスが一体となった対策オフ セットスプロケットが広く一般的な物となりました。

■ボス付き型対策品15mmを超えるオフセット化をするのであれば、ボス付き型は絶対に必要であると考えられます。アウターボードサポート等の併用も、ミッションベアリングへの負担を低減させるために効果的です。17mmと23mmのオフセット値が設定されています。

■従来品

15mm以内のオフセットであれば、従来品であっても問題が発生するケースは少ない為、このタイプを使用します。リアタイヤサイズ170までの足回り用と考えて良いでしょう。

カ ウンターシャフトボールベアリングにワンピース形状のまま直接押し付けられる形で精密固定される為、スプロケットスプライン部にかかる負担が大幅に低減さ れます。この構造はオフセットスプロケットを数多く手がけて来たオートマジック社ならではの画期的発案と言えでしょう。